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Never too late後編

532 :Never too late(下)1/21/ ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 12:44:46 ID:M2bVtiI9

<06――紅>

豊幌ファクトリーの地上二階の女子トイレからうなり声が聞こえた。
「……本当にこんなのしかなかったのか?」
紅が聞くと、透華はにへらと笑った。
「はい。似合ってますよ」
「……スカートは苦手なんだが」
透華が紅のために買ってきたのは黒いシャツに同色の膝丈のスカート。紅はシャツには
文句は一つとして言わなかったが、スカートが問題だった。
ひらひらとしたプリーツスカートを見て、紅はまず、「うわ」とうめき声をあげ、次に
つき返そうとしたが。透華に
『それを履かなかったら、下半身丸出しになりますけど?』
と言われ、渋々履くこととなってしまったのだが。
「似合わないだろう」
紅は裾をいじりながら、うじうじとそんなことを言った。
「そんなことないですよ、似合ってますって。ほら、中身、買いに行きましょう」
透華が買ってきたのは服だけで、下着はまだだった。
紅は顔を赤らめながら、透華に引っ張られてトイレを出ようとしたその瞬間だった。
「――待て」
透華の腕を引っ張り、自らの体の後ろへ。
「ど、どうしたんですか?」
紅は透華から飯島のコートをひったくると、ポケットから銃を取り出し、コートだけ透
華に返して、撃った。
「ぐっ」
今まさに女子トイレに進入してこようとしていた黒服の男は、胸を撃たれてその場に崩
れた。
その後ろから、また別な男が現れ、発砲してきた。
紅は透華の腕を引き、個室の洋式便座の影に透華を座らせると、自分は銃を構えて飛び
出した。
銃声が応酬する。
トイレの壁に弾痕がいくつもいくつもできあがっていくのを見て、透華は頭を抱えて震
えた。
紅は身体を止めず、走り、跳び、狙いを定めさせない。スカートがひらひら舞うのが邪
魔だった。
黒服の男は紅に銃弾をあてることが適わず。
紅も動きながらではまともに狙いを定められない。
「ちっ」
紅は残弾の切れた銃を捨てると、一気に男との間合いを詰めた。
「――ヅッ! 食らえ!」
右腕を銃弾が掠めた、血の帯が宙に舞う。
紅は床を蹴り、勢いをつけて、相手の顔面に掌底をあてた。
「――ッ!?」
相手の動きが止まる、その隙を見逃さず、紅は相手の手から銃を奪うとすぐさま相手の
腹部めがけてトリガーを引いた。一発、二発。
よろめきうずくまろうとした敵を、紅は容赦せず、横なぎに蹴り飛ばすと、叫んだ。
「柊透華!」
出て来い。
そう言おうとしたが、トイレの外にいる順番待ちを見て、紅は改めた。
「隠れていろ」
「は、はい」
透華のうわずった返事。
紅は女子トイレの狭い中を嫌い、飛び出すと、弾丸の雨が降り注ぐ前に近くにいたもの
から撃った。
見ると敵は十名ほど。その手には銃やナイフなどが握られている。
周囲は悲鳴に包まれていた。
ショッピングモールの穏やかな空気は、戦場と化していた。
紅は弾が切れた銃を投げ捨てて一人の顔に当てると、貫手に構えた。
「伊佐美紅だな?」
「だとしたら?」
533 :Never too late(下)2/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 12:45:31 ID:M2bVtiI9
左右に黒服の男たち、背に透華の隠れる女子トイレ、前方には吹き抜け、落ちないよう
に腰の高さほどの柵が張り巡らされている。
相手は同士討ちを嫌い、撃ってこない。
紅は唇をぺろりと舐めた。
「かかってこいよ」

***

逃げ始めてから、銃声を聞いたのは何度目だろう?
何度目だろうと関係ないと、透華は思った。いつまでたってもこの音はなれないし、従
という存在が怖くてしょうがなかった。
人を殺すためのもの。
傷つけるだけの道具。
破壊するための道具。
それを操る紅のことも、少し怖かった。
必死に、命がけで守ってくれているのは分かるけれど、銃をつかっている紅が怖い。
普段の朴念仁であんまり他人に興味示さないけど、飯島さんにだけは好かれていたいと
がんばってるような、そんな紅のことは好きなのに。
何故、違ってみえてしまうんだろう?
どうして変わってしまったように見えてしまうんだろう。
銃声が響き続ける。
透華は頭を抱え、戦いが早く終わらないかなあと願った。
望みはなかなか叶いそうになかった。
その時、携帯電話が鳴った。
最初、それが自分の懐にある携帯電話から鳴っているのだとは透華は思わなかった。借
り物の携帯電話の着信音は、なかなか耳に馴染まない。
携帯を開くと、そこには飯島の携帯電話の番号が表示されていた。

***

既に五人倒した。
紅は頬から流れる血を手の甲で拭い、ぺっと唾を吐いた。先ほど腹を蹴られたせいか、
唾には多量に血が混ざっていた。口の中は鉄の味がした。
両手には奪った銃――残弾不明――確認する余裕すらなし。
残った敵は柱や壁の影に隠れている。
紅、トイレの前から離れず、絶対死守、故に全方向を警戒していないとならない。
「くそが、でてこいよっ」
紅は左側を向き、柱へ向けて撃った。しかし、柱を削るばかりで、隠れているものまで
倒すことは叶わない。
苛立ち、倒れているものを蹴り飛ばす。
背後から物音がした。
壁の影に隠れていた男が飛び出し撃つ、次の瞬間その男の頭は弾けていた。
紅は後方宙返りで銃弾を回避しつつ、敵を撃つという曲芸じみた真似をしてのけた。
その動きに驚き、動きが鈍ったであろう瞬間を狙い、背後にいたもう一人へ駆け寄り、
強襲、首が血の叫びをあげていた。
紅は銃を捨てると、その男が持っていた銃を奪い取った。
銃弾が後方から降り注ぐ、紅は隠れることもせず、振り返った。
挟み撃ちではなく、片面からの攻撃になってしまったことで、男たちは決心したのだろ
う。必死の表情で紅を撃とうとする。
しかし、紅は不思議と当たらない気がした。
実際、男たちの銃弾は一発も紅にかすらなかった。
紅は口元に笑みを浮かべた。
「……スカート効果、ってか?」
微笑み。
紅は両手に銃を構え、走り始めた。
534 :Never too late(下)3/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 12:46:05 ID:M2bVtiI9
銃弾の雨が紅に降り注ぐ、しかし、左右に避け、跳躍し、転がり、紅は回避し続け、一
気に距離を詰める。
二人は銃を撃ちながら後退した。しかし、一人は残った。
下がればいいものを、紅と距離がつまったことで殺せると踏んだのか、その場で撃ち続
けるが。
「ハッ!」
前方へ跳躍し、転がって、距離を詰めた紅は、しかし銃を下手に構えてしまっていて、
構えなおす時間がない。ならばと、地面を蹴った。
勢いのまま男にぶつかり、押し倒す。
「――ぐあっ!」
思い切り背中を打った男が悲鳴を上げる。
紅はそれへ顔を踏みつけ、跳躍し、先に残りの二人を片付けようとした。
だが、横からもろにタックルをもらい、柵に押し付けられた。
「ふ、ははは、おしまいだな」
紅の額に銃口を押し付け男が言った。
紅はしなやかなその肉体のばねをいかし、地面を蹴った。
「知るかよっ!」
「なにっ」
紅は男の身体を蹴り上げると、もろともに柵から転落した。
突然のことに、助けを求めるように紅に抱きついてくる男を、蹴って距離を離し、銃弾
を打ち込んだ。
自由落下する紅へ男たちは銃弾を打ち込んだが、当たることはなかった。
紅は地上四十メートルの自由落下を肌に感じながら、これで終わりか――そう思った。
こんな高度から落ちては、自分の身体はひとたまりもない。あっけない最後だと紅は思っ
たが、しかし――。
紅が落下した先には流れる滝つきの人工の池があった。
水がクッションとなり、紅はからくも助かった。
紅は銃を池に投げ捨て、這い上がった。
アトリウムの中には人の姿はなくなっていた、外からパトカーのサイレンが聞こえる、
紅は早く逃げなければと思い、二階の女子トイレへ走った。
まだ二人残っている、透華が無事であればいいのだが――。

「……遅かったか」
死体が転がっているばかりの女子トイレに戻り、紅は歯噛みした。飯島になんと言い訳
したらいいんだ、自分の力のなさに腹が立った。
それでも透華の死体がないだけマシだと思った。
「――ん?」
透華が隠れていたトイレの陰に、一枚の紙切れが落ちているのを見つけた。
それには「紅さんへ」と丸っこい字で宛名が書かれていた。

***

田所遼――本名井坂遼には夢があった。
彼は幼い時代を孤児院で過ごしていたのだが、そこでの生活は最悪だった。
適当に作るため人数分あるか怪しい食事を奪い合い、鍵のかかった机にしまっておかな
ければ盗まれても文句は言えず、夜には大人たちの相手をさせられた。寝ていると、頭の
上をかさかさと虫が通っていく。
地獄のようだった。
そこを出た今でも、あの頃の夢をよく見る。
田所は外で一人暮らしを始めるとき、希望を見ていた。ここは奪いあうこともせず、自
分ががんばればなんでも手に入るところなんだ、と。
だが、実際には違った。
一人暮らしをはじめて三ヶ月で田所は住む場所も働く場所も失った。
理由は簡単だった、田所がいた孤児院から犯罪者が出た、そのことで周囲からからかわ
れた。あいつらの仲間なんだろうと言われて、反射的に殴っていた。あそこにいる連中と
一緒にされたくはなかった。
だが、外の世界では暴力を振るったらそれなりの制裁があることを、その時初めて田所
は知った。孤児院の中では腕っ節が強くなくては、満足に食事もできなかった。
535 :Never too late(下)4/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 12:46:52 ID:M2bVtiI9
働く場所と家を失った田所は、それでもしばらくの間まじめに働こうとしていた。
だが、田所を見る世間の目は冷たく、受け入れてくれるものは殆どいなかった。
田所は生きるために暴力を働いた、孤児院にいた頃と同じように。
強盗、万引き、生きるためにはなんでもした。
そんな時だった、飯島と会ったのは。
飯島の持っている鞄を奪おうとした田所だったが、その時は三日まともに飯を食えてい
なかった時で、逃げる途中で転んでしまい飯島に捕まった。
警察に連れて行かれるのかと田所は思ったが、飯島はそうしなかった。
田所に肉まんを買い与え、身の上話を聞いた。
変な大人だった、田所は不思議に思い、率直に聞くと飯島は笑って答えた。
『まあ、困ってる時は助け合いってもんだろ』
――と。
それから、田所は飯島の下で働くこととなった。働いているうちに、飯島がどんな男な
のか分かって、田所は飯島のようになりたいと思った。
飯島のように強く、全てを自分の力で手に入れられる男に。

船着場の貸し倉庫に田所はいた。
安い造りの倉庫は隙間からびゅうびゅうと冷たい潮風が入り、何もない倉庫内で吹き荒
れる。
田所は柱の一つに身を預け、目を瞑っていた。
「どうして、こんなことを……」
鎖で柱に繋がれた飯島は、そう聞かずにはいられなかった。
田所は目を開けず、答えない。
「何故殺さない。あの子に、紅に人質がきかないのはお前も知っているだろう。俺がいる
からと、遠慮するようなタマじゃない」
倉庫内には二人のほかに誰もいなかった。
田所は短く答えた。
「伊佐美に効かなくても、ね。貴方が捕まっていると聞いたら、見捨ててられないであろ
う子供はいます」
田所の言葉に、飯島はハッと顔をゆがめた。
「まさか……」
「来たようです」
倉庫の前に、車が停まる音が聞こえた。
扉を開き、現れたのは――
「お嬢ちゃん……」
柊透華だった。
二人の男に両腕を捕まれた透華は、飯島を見ると、ほっとしたのか小さく息を吐いた。
「ごめんなさい、でも飯島さんを殺すって聞いたから」
飯島は、少女のその素直さと優しさに感動してしまいそうだったが、そうもしてはいら
れない状況だと分かっていた。
田所を睨みつけると。
「おい、遼、そのお嬢ちゃんに手をだしてみろただじゃおかねえぞ」
田所はクツクツと笑った。
「鎖に繋がれた貴方に、なにが。――お前ら、少しかわいがってやれ」
「はい」「はい」
二人の男は即答すると、抵抗できない飯島をいたぶり始めた。
田所は透華の前に立つと、飯島を助けようと走り出しそうな透華の腕を掴んだ。
「や、やめて、飯島さんにひどいことしないでっ」
「ひどいこと、か」
「――っ」
田所は透華の顎を持ち上げると、少女の顔をよく見た。
ねぶるようなその視線に、透華は負けじと睨み返したが、それは田所を悦ばせる効果し
かなかった。
「確かにそうだ、酷い話だ」
「分かってるならやめて、やめてください!」
透華には男たちを止めるだけの腕力もなければ、紅のように銃をもっているわけでもな
い。一方的に振るわれる暴力の前に、十四歳の透華はただの少女に過ぎない。
だからといって、目の前で繰り広げられている光景を見過ごすことはできなかった。
「なんで、人を傷つけるんですかっ」
536 :Never too late(下)5/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 12:48:44 ID:M2bVtiI9
飯島は男たちに左右から蹴られ続けていたが、悲鳴をあげなかった。まるでそうされる
のが当然というように、責められ続けている。
――力があれば。
透華は願った。
自分に人を助けられるだけの力があれば、そう強く願った。
紅や飯島のように誰かを助けることもできるのに、と。
少女の強い眼光に、田所は口端を歪めた。
「何かを得るには力がいる――いや、力があれば、総てが手に入る」
「そんなの――きゃっ!」
突然田所に突き飛ばされて透華は転んでしまった。
地面に横たわる透華へ、田所は銃口を向け一発撃った。
「ひっ」
弾丸は透華の顔をかすめ、地面を穿った。
「殺されたくなければ――いや、飯島さんを殺されたくなければ、のほうがいいかな?
服を脱げ、柊透華」
「くっ――」
透華は銃口よりも深い闇を宿す男の瞳を睨みつけ、吐き捨てるように言った。
「アンタ、最低だ」

>透華、選択。
服を脱ぐ→>>537
服を脱がない→>>544
537 :Never too late(下)6/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 12:49:15 ID:M2bVtiI9
***

高速道路を一台のバイクが駆けていた。
車の間をすり抜けるように走っていく、一歩間違えれば事故を起こしかねないほどの速
度とコース選択、そのバイクが駆け抜けた後にあるのはクラクションの怒声ばかり。その
走り抜けていく様はまるで風のようだ。
漆黒のボディを駆るは黒いコートをまとった痩身の女だった。
「あのガキ……」
紅は透華がいなくなっているのに気づくと、近くにある飯島の拠点のひとつへ向かい、
このバイク――Shadow Slasher <400>を出した。
久々に乗ったため勘を忘れていないか不安だったが、そうでもないようで紅は安心した
が、ゆっくりしていられない状況だった。
飯島も透華も敵の手に渡ってしまった。
居所は息のある奴から聞き出せたが、豊幌市の外。それまで敵が二人に手を出さないか
といわれたら、分の悪い賭けだった。新年まで生かしておかないとならない透華はまだし
も、飯島を生かしておくとは思えなかった。
だが、それでも助けられる可能性があるなら、と紅はスロットルを更に開く。紅の意思
を反映するようにShadow Slasherは咆哮をあげる。加速度が紅の戦意を高揚させる。
フルフェイスのヘルメットの中で紅は呟く。
「なにが、スカートにあってます、だ」
透華の書置きを思い出して、紅は口端を歪める。
『  紅さんへ

イイジマさんがつかまってるそうです。
わたしが行ったら助けてくれるそうなので、いってきます。

いままでありがとうございました。

柊 透華

p.s.スカートにあってますよ(*>ω<)b』
透華はたったそれだけしか書いていかなかった。
文の最後にご丁寧にも顔文字を書くような暇があったのなら、居場所くらい書いていけ
よ――紅は哄笑を浮かべマシンと一体になる。
速度を上げれば上げるほど、コートがひらめき、吐いているプリーツスカートも風にな
びくのだった。

屋根から、一筋月光が差し込んでいる。
その月光は少女を照らし出していた。
一切衣服をまとわず、靴すら脱ぎ捨てた、無垢の少女を――
田所は口元に嗜虐的な笑みを浮かべた。
透華の肢体はそこいらの商売女にはない神秘さがあると田所は思った。
白い肌をまとった肉は年齢に比べて発育が良く、特に肉付きのいい乳房にかじりつきた
いと思ったが、直ぐにはそうしなかった。
「これで、いいんですよね」
透華は真っ直ぐに田所をみつめて言った
「……ああ。おい、やめろ」
男たちは無言で飯島への暴行をやめ、田所の背後に着いた。
なにをされるんだろうか、透華は思ったが、どう考えても答えは一つしか浮かんでこな
かった。
飯島は腫れ上がった顔で透華の方をみて。
「俺のせいで」
と呻いた。
そうじゃないと言ってあげたかった、透華はこれは自分で選択したことなんだと伝えた
かったが、情けないことに震えて声がでなかった。
田所は部下二人へ命じた。
部下二人は、田所がこの少女を犯せと言ってくれるのかと心待ちにしているようだった。
だが、
「出て行け、お前らは外で監視だ」
538 :Never too late(下)7/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 12:50:02 ID:M2bVtiI9
「はい」「え、あ、はい」
部下二人は渋々といった様子で倉庫から出て行った。
今、倉庫には透華と飯島と田所しかいない。
田所は少女の胸に触れた、氷のような手に触れられて透華は思わず声をあげてしまった、
それを見て田所は喉を鳴らして笑った。
乳頭をもてあそびながら、田所は口を開いた。
「わたしが、ここにキミを呼んだ理由を教えてあげようか?」
田所の触り方はくすぐるようで、紅に触られた時のような気持ちよさはなかった。
「分かりません」
「そうか。なら説明しよう、なに簡単なことさ」
そうして、田所は言った。

***

紅は倉庫街につくと、透華がいるであろう倉庫の前にマヌケにも二人の黒服が立ってい
るのを見つけた。そんなところでぶらぶらしていたら、ここにはなにかありますといって
いるようなものだった。
紅は片手で銃を抜くと、まず一人を撃ち殺し、次の一人へバイクの前輪をぶつけた。
「ここか」
バイクを降りると、倉庫の壁に耳をあててみた。だが物音一つしないし、隙間から覗い
ても電灯の類はつけられていないようだった。
紅はいぶかしみながらも、正面から倉庫に入った。
すると、予想通りに銃弾が紅を襲った。
「くっ」
転がって避け、肩膝立ちで制止する、撃ったもののほうへ銃を構える。
直ぐに引き金を引こうとしたが――
「……なっ」
そこだけ光があたっていた。
青白い月光が独りの少女を照らし出している。
その少女は一切衣服をまとっておらず。
その少女の膣からは一筋の血が流れていた。
その少女はその手には大きい銃を持っていた。
その銃口は紅へ向けられていた。
「うそだろ……」
そこにいたのは、
「柊、透華。なんで……」
それに答えたのは、銃声だった。
<06――こどもたち>

「そうか。なら説明しよう、なに簡単なことさ」
田所は地面に膝を落とし、少女の乳房に吸い付いた。
「キミに復讐するチャンスを与えてあげようと思ってね」
「……復讐?」
透華は大の大人が乳房に吸い付いているのを見て、ナメクジが這っている様を連想した。
「そうだ。復讐だ。キミの父上、柊健介博士は殺された。依頼主は研究所に出資している
とある企業だと聞いている。彼らにとって、研究を自分のものにしかねない柊健介は邪魔
だった、だから殺された」
「その社長のところに連れて行ってくれるというの?」
「いいや」
田所はゆっくりと舌を這わせて、少女の下腹部を訪れると、その若芽の陰毛をはんだ。
「実行犯を殺させてやると言ったんだ」
言いながら、田所は少女の陰部に触れた。
「ひっ、ぃい」
指をあてがい押し開く、少女の芳しいアンモニア臭、変形していない陰唇。
田所はそれらを味わうように舐めた。
「私たちの組織には名前がない、何故だか分かるか? 私たちは誰の敵にもならないし、
誰の味方にもならない。総ての味方であり、敵であるからだ。だから、一分前まで殺しあ
っていた相手と、一分後には共闘することがある。敵も味方も、決めるのは絶対なる価値
であり、我々が唯一信じるもの――金だ」
539 :Never too late(下)8/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 12:52:18 ID:M2bVtiI9
「ぃ……いや……やめて……」
透華は自らの身体を抱き、小刻みに震えた。田所に舐められているということが、気持
ち悪くて仕方がなかった。
田所は少女が苦悶の表情を浮かべ、拒絶の声を上げながらも、その甘い蜜を漏らし始め
ていることに気がついた。
「金により戦う、金のために戦う。それは、そう、生きるためだ。だから、キミのお父上
を殺したのも金であり、キミを守っているのも金だ」
くぷっ。人差し指の第一間接まで押し入れると、少女は月光を仰ぎ、身をよじった。
田所は笑いながら指を押し入れていく。
人差し指を飲み込ませ、田所は言った。
「キミを私たちと飯島さんたちで奪い合ったのも金だ。二つの組織から依頼が来た、どち
らの組織へ渡すかはもう決まっている。メモリースティックを持っていないほうの組織に
渡し、奪い合いのために更に金を出させる。自分の組織を出来レースで食い合わせること
により利益を生む。ウロボロスさ」
田所は少女の初々しい膣壁の反応に喜びを覚えた、初めて入ってきた異物を、膣は排除
しようと力を込める。だがそれは、少女への拷問だった。
「くっ……あ、あふっ……う、っ……うう……」
ひとつとして指を動かしていないというのに、少女は苦悶する。自らの肉体のせいで。
田所は「どれ」と指を動かしてやった。
かき混ぜるように、引っかくように、こするように。
「――――ッ!!」
少女は自らの指を噛み、堪える。
だが幾多の女を抱き捨ててきた田所には、少女の抵抗など、もろいものだった。
「ひあっ」
そこに触れると、少女は声高くないた。それを聞き、田所はその一点をひたすらに攻め
続けた。
「ひっ、ひひっ、ぃいいい、いやっ、やめて、やだ、なにこれ、やだよ」
少女は長い髪を振り乱しソレを堪えようとする。
だが――
「ふふっ」
少女の意思とは関係なく、少女の性器は潮を噴いた。
田所は笑いながら、そこを攻め続ける、ただ一点を。
「やめろっ!」
飯島は叫んだが、拘束されていて止めにはいることすらできない。
透華の股の下の地面には小さな染みがいくつもできている、堪えられず膝をつき、その
まま地面に倒れてしまった。
田所は少女を見下ろし、足で仰向けにさせた。
「柊透華、キミの父親を殺したのはキミが良く知っている人物だ」
「……え?」
少女は虚ろな目で男を見た、男は少女に銃を差し向けていた。銃口ではなく、グリップ
を。
「殺害犯は伊佐美紅。キミを守っていた雌狗だ」
「え、……うそ」
「嘘は言わないさ、飯島さんに確認してもいい。伊佐美紅が柊健介を殺した」
透華は身体を起こし、焦点の合わない目で飯島を見た。
飯島は「くっ」と呻き、顔を伏せてしまった。
「……まさか」
飯島は耐えられないというように、言った。
「すまない、いつかは言おうと思っていたんだ」
その答えだけで十分だった。
田所は大笑すると透華へ言った。
「さあ、復讐の剣を執れ! 柊透華! この銃の銃口をキミ自らの手で膣でいれることが
できたら、私は全力をもって、キミの復讐を支援しよう!!」
透華は、――

***

540 :Never too late(下)9/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 12:53:06 ID:M2bVtiI9
「わたしのお父さん」
静寂を破って透華は言った。
「紅さんが、殺したんですよね? 聞きましたよ」
「くっ」
紅は撃たれた左腕を抑えながらも、透華を睨んだ。
「私がお前の親を?」
「ええ、そうです。わたしを助けに来たあの日、あの晩、あなたは人を殺してからわたし
の前に現れた。そうですよね?」
紅は傷がたいしたことがないと悟ると手を離し、銃を取った。
透華が言っていることは本当だろうか、思いだすと、確かにあの日、紅は一人の男を殺
していた。
「まさか……!」
透華は応えなかった、代わりに銃弾が紅の右足を撃ちぬいた。
「ぐあっ!!」
「なんで、言わなかったんですか」
「……知らなかった」
太ももを撃ち抜かれ、紅はその場に崩れた。
膝を抱えて倒れる透華へ、一歩、一歩、ゆっくりと透華が近づいてくる。
「しらなかった?」
透華はくすくすと笑いながら、紅の頭を蹴った。
「わたしのお父さんですよ? 紅さんが殺したの」
「くっ……う……」
「なんで殺したんですか? わたしのお父さん」
透華はそういいながら、紅の隣に座った。
紅の顔はとても美しいと透華は思った。こんな綺麗な人が人を殺して、平然としている。
わたしのお父さんを殺しておきながら、平然と――
透華はゆっくりと顔を近づけていき、紅の唇に自らの唇を重ねた。
血の味がした。
透華は舌をいれようとしたが、突き飛ばされてできなかった。
「やめろっ!」
紅は鋭く叫んだ。
透華は薄い笑みを浮かべた無表情で言った。
「ころしたくせに」
「それはっ……知らなかったんだ、本当だ」
紅にはそれしか、いえる言葉はなかった。
「知らないって言ったら、ゆるしてもらえるとおもってるんですか?」
透華は動けない紅の上に乗った、腰と腰が触れ合っているのがいやらしいな、透華は微
苦笑した。
「知らないって言ったら、父さんはよみがえってくれるんですか?」
「それは、私は、仕事だったんだ」
「そんなの、ひどいですよ」
透華は紅の額に銃口を押し当てた。
「……復讐、か」
「はい」
紅は真っ直ぐに透華を見据えた。
「復讐です」
透華は真っ直ぐに紅を見つめている。
「そうか、なら撃て」
紅は迷いのない声で言った。
「……いいんですか」
「私も親を殺された、アンタの気持ちは分かる」
透華は飯島の言葉を思い出した。
『俺が、紅の親を暗殺した。いや、本当だ。俺が紅の親を、家族を皆殺しにした』
そうだった、透華は思い出した。
紅も家族を殺されているんだった、飯島に。
「……それなら、なんで飯島さんと一緒にいられるんですか?」
「私には」
紅はごほっと咳をした、血が飛び散った。
「私には、それ以外に選べる道がなかった。死ぬか生きるかと言われたら、生きるほうを
選びたかった」
541 :Never too late(A)9/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 12:57:46 ID:M2bVtiI9
「飯島さんを殺すチャンスはあったんですよね? なんで、殺そうとしなかったんですか」
「一緒にいる内に、殺せなくなった。ろくでなしの人殺しでも、あの人のことが好きなん
だ、好きになってしまったんだ」
「好きに……」
『ああ、あいつはそれなのに、俺に認めてもらいたがっている、俺に頭を撫でて欲しいと
がんばってる』
飯島がそう言っていたことを思い出した。
透華は、ずるいな、と思った。
わたしにはそんなロマンスはなかった。
だって、白馬に乗って現れたのは王子様じゃなくて、紅さんだったんだから。
「そうですか」

>透華選択
紅を赦す→このまま
紅を赦さない→>>551

透華は寄り添わせるように紅に自らの身体を重ねた。
少女の重さ、柔らかい身体を、紅は片腕で抱いた。
それを透華は抵抗もせず、受け入れた。
「紅さん、これを」
「ん?」
透華は、紅の手に銃を握らせた。
「……透華?」
「撃とうと思ったんです、紅さんのこと。討てると思ったんです、お父さんの仇を」
透華は、紅の耳元でささやくように言う。
「でも、撃てないんです。引き金、引けないんです。紅さんのこと、殺せば、父さんの仇
うてるのに……わたしっ……わたし……」
「透華」
紅は透華に言葉をかけてやろうと思った。だが、紅にはこういうときになんて声をかけ
てやればいいのか分からなかった。
だから紅は透華と唇を重ねた。
「――――っ」
ただ触れ合わせているだけのキスだった。
それだけで、二人は溶け合えるような気がした。

紅が言った。
「私を憎め、柊透華。憎んで憎んで、そしてどうするかはアンタが決めるんだ。自分の将
来を、私の命を、どう使うかはアンタに委ねる。憎くて憎くてどうしようもなくて、殺す
しかないと思ったのなら殺せ。その判断がつくまで、私の傍から離れるな」
そう言うと黒いコートは、戦場へと向かった。
透華は力が抜けた身体を、地面の上に投げ出したまま――眠った。
そこでなら父と会えるだろうと思って。

***

田所は倉庫から数分はなれた場所に隠しておいた車に飯島を乗せると、そろそろ透華が
紅を殺した頃だろうかと思い、倉庫に戻ろうとした。
それを、飯島が引きとめた。
「……遼」
「なんですか?」
田所は振り返らずに応えた。
年齢以上に老け込んだ飯島は、大きくなった井坂/田所の背中を見て言った。
「何故離反した? 俺のせいか?」
「違いますよ」
「俺のことを恨むのならかまわない、でもあの子らは見逃してやってくれないか。まだ若
いんだ、道の選びようはある」
542 :Never too late(A)11/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 12:58:24 ID:M2bVtiI9
「なにを言ってるんですか」
田所はシャツの襟を引き締め、銃を握る手を硬くした。
「私は自分の組織を大きくするために、善処しているだけだ。貴方のことなど関係ない」
「そうか……」
飯島はそういうと、後は何も言わなかった。
田所は黙って倉庫へと戻った。

倉庫からは物音一つしなかった。
どうやら決着はついた後のようだ。
あの飯島が育てた女だ、潔く復讐を受け入れているだろう、田所はそう思い、倉庫の扉
を開けようとした――その手が撃ち抜かれた。
「ぐっ――!?」
田所は直ぐにその場を離れると、銃を抜いた。
弾丸の飛来した方向を見て、田所は目を見開いた。
倉庫の屋根の上に、誰かが立っていた。
「……殺せなかったか」
月光を背に、黒いコートをはためかせていたその人影は、屋根から飛び降りた。
「馬鹿な――しかし!」
田所は片手で狙いをつけ、降下してくる黒コートを撃った。オートリロードの銃は片手
でも連射できた。
だが、何発撃っても、悲鳴が聞こえてこない。
黒いコートは銃弾を何発その身に受けても、怯まず落ちてくる。
「防弾仕様か――なに!」
強い風が吹いた。
田所は吹きすさぶ埃に、思わず銃を握る手で顔をかばってしまった。
その瞬間だった。
「そういうことか!」
黒いコートは強風で吹き飛ばされ、飛んでいった。
その向こう側には、変わらず人影が立っていた。
田所は顔が引きつるのが分かった。
反撃しようとした。
避けようと思った。
思考と反射が、意地と生存本能がぶつかり合い、動けなかった。
そこへ、一発の弾丸が飛来した。
田所は、その弾丸が飛んでくるのがひどく遅く感じた。だからといって、避けれそうに
もなかった。
「父さん……俺、アンタの」
額を銃弾が撃ち抜いた。
井坂遼はよろけて、倒れ、海に落ちた。
それを見届ける前に、紅もまた倒れていた。
543 :Never too late(A)12/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 12:59:54 ID:M2bVtiI9
<ED――それからのこと>
柊透華は春から通う高校の制服に袖を通して、待ち合わせ場所である喫茶店へ向かった。
一年ほど前銃撃戦が行われた、豊幌ファクトリーも修理はとうに終わり、今は以前どお
りに営業している。
華やかな笑顔が溢れる中、透華は喫茶店の隅の席に座る、初老の男性の姿を認め、くすっ
と笑った。
「飯島さん」
手を振ると、男/飯島は照れたようににへっと相好を崩し、手を振りかえした。
透華は、父柊健介の死後、父の研究を研究所側へ売ることに決めた。
父の研究は価値の高いものだったそうだが、透華は大人になるまで暮らすお金と命の無
事のほうが大事だと言ったものだった。
その取引の以後、透華一切命の危機を味わうことなく、平穏無事に暮らしている。
「飯島さんのほうは?」
「俺のほうか?」
「はい、聞きたいです」
「聞いても面白くねえ話なんだがな。まあ、大体のことは電話で話したとおりだ。んで」
あの事件のあと、飯島は失踪していた。
正確にいえば事件の後処理に追われていたのだが、その間飯島は誰とも連絡をとろうと
しなかった、彼には組織の人間が張り付いていて、見張られていたのだ。
「組織からは抜けた、というより、抜けろとさ。以後、関わろうとしたら、組織の益にな
ろうとなるまいと排除するんだそうだ」
透華はそれを聞くと、笑顔で言った。
「よかったですね」
「お嬢ちゃん……」
「だって、もう人殺しとかに関わらなくて住むじゃないですか」
透華の言葉に、飯島は毒を抜かれたように「まあな」と渋みのある笑みで応えた。
「ところで、紅はどうした?」
「あ、紅さんですか。ほら、あそこにいますよ」
「え、どこだい?」
透華が指差した先には、柱の陰から顔だけ出している紅がいた。紅は見つかると、顔を
引っ込めてしまった。
「どうしたんだ、あいつ?」
「照れてるんですよ、きっと。今、つれてきますね」
そう言って透華は席を立った。
「……なんか、逞しくなっちまったもんだな」
あの事件のあと、紅は半年間入院せざるを得なかった。
それを機に、紅は組織を抜けた。飯島の手伝いをしていただけで、上にはその存在を知
られていなかったから、いつでも抜けることはできたらしい。
紅は失踪する直前に飯島に「好きなように生きろ」と言われたが、どうしたらいいか分
からず、ただベッドの上で日々を過ごした。
そこへ透華が現れた。
透華は毎日のように見舞いにきては、紅に話しかけ続けた。
そうしてある日、透華は紅に言った。『一緒に暮らしませんか?』――と。
紅は透華に自分のことを見張っていろと言った、ならば、一緒に暮らしているのが一番
だと透華は言ったのだ。
紅は最初のうち断っていたが、既に飯島の手によって、紅は透華の家の養子となってい
た。それが飯島が組織で成した、最後の仕事だった。
飯島は紅が伊佐美紅から柊紅になったことを受け入れたのは聞いていた
あれから新聞沙汰をおこしていないあたり、おとなしく暮らしていたようだった。
「飯島さーん」
「こらでかい声をだすな」
「ん?」
飯島が顔をあげると、そこには肩に触れるほどまで髪を伸ばし、スカートを履いた紅が
いた。
「おお、似合ってる似合ってる」
飯島がほがらかに笑った、紅は唇をアヒルのように尖らせ。
「……そうか?」
照れくさそうにそう言った。

――了
544 :Never too late(B)13/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 13:01:47 ID:M2bVtiI9
>>536より

高速道路を一台のバイクが駆けていた。
車の間をすり抜けるように走っていく、一歩間違えれば事故を起こしかねないほどの速
度とコース選択、そのバイクが駆け抜けた後にあるのはクラクションの怒声ばかり。その
走り抜けていく様はまるで風のようだ。
漆黒のボディを駆るは黒いコートをまとった痩身の女だった。
「あのガキ……」
紅は透華がいなくなっているのに気づくと、近くにある飯島の拠点のひとつへ向かい、
このバイク――Shadow Slasher <400>を出した。
久々に乗ったため勘を忘れていないか不安だったが、そうでもないようで紅は安心した
が、ゆっくりしていられない状況だった。
飯島も透華も敵の手に渡ってしまった。
居所は息のある奴から聞き出せたが、豊幌市の外。それまで敵が二人に手を出さないか
といわれたら、分の悪い賭けだった。新年まで生かしておかないとならない透華はまだし
も、飯島を生かしておくとは思えなかった。
だが、それでも助けられる可能性があるなら、と紅はスロットルを更に開く。紅の意思
を反映するようにShadow Slasherは咆哮をあげる。加速度が紅の戦意を高揚させる。
フルフェイスのヘルメットの中で紅は呟く。
「なにが、スカートにあってます、だ」
透華の書置きを思い出して、紅は口端を歪める。

『  紅さんへ

イイジマさんがつかまってるそうです。
わたしが行ったら助けてくれるそうなので、いってきます。

いままでありがとうございました。

柊 透華

p.s.スカートにあってますよ(*>ω<)b』
透華はたったそれだけしか書いていかなかった。
文の最後にご丁寧にも顔文字を書くような暇があったのなら、居場所くらい書いていけ
よ――紅は哄笑を浮かべマシンと一体になる。
速度を上げれば上げるほど、コートがひらめき、吐いているプリーツスカートも風にな
びくのだった。

***
「どうした、脱がないのか?」
「……うっ」
透華はコートを脱いで、シャツに手をかけたところで手を止めてしまっていた。
ここで服を脱いだら、その後なにをされるかは明白だった。
男が三人、助けてくれそうな飯島は鎖に繋がれている、紅にはここの場所を教えていない、
自分を助けてくれるものは一人としていない状況だ。
透華は不意に気づいてしまった。
誰も助けてくれない、力では到底敵わない相手に囲まれている、それに男たちが約束を守っ
てくれる保障などどこにもないことを。
背中を、冷たい汗が流れた。
「あ、あの……」
「ン? なんだ」
田所の手には銃が握られている、おそらく男たちも武装していることだろう。
「ほ、脱いだら、本当に飯島さんを助けてくれるんですよね?」
もう一度聞いた。
田所は呆れたというようにため息をついた。
「ええ、そうですよ。そして、貴方はそれに同意した。脱ぐと約束をした」
545 :Never too late(B)14/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 13:02:21 ID:M2bVtiI9
「ぜ、絶対に守ってくださいよ、約束」
透華が震える声でいうと、先ほどから暴行を受けている飯島が叫んだ。
「お嬢ちゃん、俺のことは気にするな、逃げろ!」
「い、飯島さん……」
透華の足が半歩下がった。
飯島もああ言っているじゃないか、なにも自ら危険に首を突っ込まなくてもよかったんじ
ゃないか、今なら、まだ――。
「おい、お前ら、脱ぐのを手伝ってやるんだ」
透華の思考を呼んだように田所はそう言った。
男たちは命じられた瞬間、飯島へ暴行を加えるのをやめ、透華の方へ向かってきた。
少女は黒服の男たちが向かってくるのに恐怖し、逃げ出そうと身体を翻したが、足がもつ
れてしまい転んでしまった。
「きゃっ」
膝を擦りむいて、血が滲んだ。
「おとなしくしてろよ」
長身の男はそう言うと透華の足を掴み、もう片方の痩せ型の男は内ポケットから折りたた
みナイフを取り出した。
ナイフの冷たい白銀が月光を反射する。
透華は顔を引きつらせ、逃げようともがくが、足を掴まれていて這って逃げることも立ち
上がることもできない。
「や、やめてっ」
痩せ型の男は透華の髪を掴むと、田所に向かって言った。
「脱がすだけですか」
その言葉に含まれている期待に、田所はうんざりとし、興味がなさそうに言った。
「少しかわいがってやれ」
「遼!」
田所はそれで興味を失ったように透華から視線を外すと、飯島に向き直り、その腹を蹴飛
ばした。
「だそうだ」
長身の男が下卑た笑いを浮かべる、痩躯はそれに追笑した。
地沼や津田のように好き放題女を食わせてもらえるポジションと違い、兵隊でしかない彼
らにはこういう機会はなかなか巡ってこない。
今だって、本当は地沼か津田のどちらかが少女に拷問を加えている予定だったのだ。
だが、その二人も死んだ。
かわいがってやりようによっては、もしかすれば、自分たちが二人の後釜に入れるかも知
れない。それはとても望ましいことだった。
「やっ、やだ、触らないで、放して」
じたばたともがく透華。
痩せた男は少女を冷たい視線で見下ろすと、そのかわいらしい顔へ、膝を入れた。
「――きゃっ」
手加減したものだったが、暴力になれていない少女には十分な威力だった。
「黙っていろ。悲鳴を聞きつけられても困るんでな」
「……ぃ、いやぁ……いたいよ、なんで、こんな……」
透華は自らの顔を押さえたが、痛みは引いてくれない。
「怪我したくなかったら動くなよ」
痩せた男はそういうと、襟を引っ張りそこにナイフをあて、一気に服を縦に引き裂いた。
少女の柔らかそうな肌があらわになり、男たちは笑みを深めた。
透華は前を押さえて隠そうとしたが、その鼻先にナイフを突きつけられ、頬を冷たい刃で
叩かれた。
「……ひっ」
「動くなつってんだろうがっ」
ナイフを頬から離すと、痩せた男は透華の腹へ革靴のつま先を思い切り叩き込んだ。
「――ッ!? ……げふっ、ひぐっ……うっ」
透華は息をつまらせてしまい、びくんと大きく身体を痙攣させると、荒く呼吸を繰り返し
はじめた。
「おい、あんまりいじめるなよ」
長身が玩具が壊れてしまわないか不安になって言った。
この数日というもの、この少女を捕らえるために奔走していたせいで、セックスどころか
まともに自慰もできていない状況なのだ。
それなのに、折角めぐってきたこのチャンスが死姦になっては嫌だった。
546 :Never too late(B)15/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 13:02:52 ID:M2bVtiI9
「分かってるよ」
痩躯はそう応えながらも、口元に浮かんだ笑みは違う答えを浮かべていた。
もっと、この少女をいたぶりたい。
この肌の白い少女の血は、さぞや綺麗な色だろうと考えていた。
「……はっ……っ……ううっ……」
口元に手をあて、透華は息を整えようとしたが、うまくいかない。それどころか、どんど
ん酷くなっていくようだった。息を飲むと、おえっと胃からこみ上げてくるのが分かる。涙
がにじんで、視界がぼやけてきた。
痩躯は透華の華奢な腕を掴むと、強引に服を脱がせ。ブラジャーをはぎとった。
陶磁のように白い肌をみて、二人の男は笑った。
長身の男は透華の胸にぶらさがる、豊かな乳房をみての性的な欲求からだったが。痩躯は
違った、ナイフをしまうと透華の髪を再び掴み、引っ張り上げた。
「いっ、痛い痛い、やめて、なにするの、抜けちゃう、やだっ」
悲鳴をあげる透華に、痩躯は下舐めずりした。
「なにするって」
噴出すように笑うと、思いきり透華の腹を蹴り上げた。
「――っ」
「おら、気持ちいいだろっ? え、おい!?」
二発、三発と透華の腹を蹴り上げていく。
蹴るたびに透華は呻きをもらし、逃れようとしてもがく、最高のサンドバッグだと痩躯は
思った。
「おい、やめろ」
長身が透華から手を離すと、痩躯を止めにかかった。
「んだよ、うっせーな」
「死んだらどうするんだ、殺してもいいとは許可をもらってはいない」
長身の言葉に痩躯は「チッ」と舌打ち、透華の髪を離してやった。
すると、透華は何度も何度も痙攣を繰り返し、吐いた。
「うっ……ううっ……すんっ…………うげ」
透華は自分の身体に吐しゃ物を撒き散らしそうになって、顔を背けて地面に吐き出した。
長身の男はかわいそうにと透華の背をさすってやろうとしたが、その前に痩躯が近づき透
華の頭を掴んだ。
「きたねえんだよっ、こらっ、糞が」
そういって透華の頭を地面に叩きつけると、吐しゃぶつを透華の顔にこすりつけた。
その感触以上に、匂いのせいで透華は再び吐きそうになったが、でてくるものはなかった。
「やめろ」
長身はもう我慢ならないというように、痩躯を殴り飛ばした。
「んだよ、なんなんだよ、さっきから」
二人の男は今にも殴り合いを始めてしまいそうだったが、そこに田所が口を挟んだ。
「手塚、頭を冷やして来い。戸村、お前が柊透華の服を脱がせてやれ」
痩躯の男は舌打ちをして、倉庫の外へ出て行った。
「大丈夫だったかい?」
戸村は透華の身体を起こしてやると、背中をさすりながら、そういった。
透華は「げほっ、げほっ」と咳を繰り返しながら、「大丈夫です」と応えた。
「よかった」
男は人のいい笑顔で笑うと透華の髪を撫でた。
「きみみたいなかわいい子に、酷い奴だね、まったく」
「……怖かったです」
透華は素直がそう応えると、男はうんうんと頷いた。
「吐くまで蹴るなんて、ああいや、女の子に暴力働くこと自体酷いよね。ああ、もう、顔も
汚されちゃって」
そう言いながら男は、透華の顔についた吐しゃぶつを舐めとりはじめた。
「……な、なにをしてるんですか?」
「ん?」
男は人のいい笑顔で笑った。
「汚いから拭いてあげてるんだよ」
とても優しい声でそう言った。
透華は首を振った。
「ぃ、いやっ」
目の前にいる男は笑っているし、優しい言葉をかけてくれているが、どこかおかしいよう
に思えた。
547 :Never too late(B)16/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 13:03:25 ID:M2bVtiI9
「田所さんの命令だからね、ほらお洋服を脱ぎ脱ぎしようか」
そう言って、スカートを脱がされたが、透華は抵抗しなかった。
「いい子いい子」
「……」
男の言葉はやさしく、穏やかなものだったが。しかし。この場には全くそぐわなかった。
だからこそ、透華は恐怖してしまい抵抗できなかった。
透華のパンツを脱がせると、男はそれの匂いを嗅ぎ、にっこりと笑った。
「いい匂いだね。ねえねえ、透華ちゃん、この下着もらってもいいかな?」
透華は、痙攣したかのように頷いた。
「わあっ、ありがとう、大切にするね」
そういって男はパンツをスーツのポケットにしまうと、逃げないようにか透華の肩を抱い
た。
「田所さん、透華ちゃんのお洋服脱がせましたよ」
田所は「よくやった」と短く応えると、
「私はまだ飯島さんと話がある、もう少し遊んでやれ」
「はい。遊んでていいんだって、ねえ透華ちゃんなにがしたい?」
無邪気な子供のように男はいう。
透華は
「なにもしたくないです……もう、帰して……服ぬいだんだからいいでしょ」
かすれた声で応えた。
「そっか」
男は満面の笑みで応え。
「そうだ、透華ちゃんおトイレしたくない? 裸だとお腹が冷えるでしょ?」
まったく聞いていなかった。
透華は首を横に振った。
「透華ちゃんっ。答えてよ、ね? お兄さんとお喋りしようよ」
気持ちわるい――透華はそう思った。
この男の喋り方は子供のそれで、話すこともまるで子供のようだった、それがとても気持
ち悪く不快だった。
だが、少なくともこの男は自分に優しい。
ならばと透華は考え、男に抱きついた。
「逃がして、逃げたいの……」
涙を流しながら言った。
男は優しく透華を抱きとめ。
「じゃあ、おしっこしようか」
違うことを言ったが、透華はそれを
「おしっこしたら、逃がしてくれるの?」
そう解釈した。
男は頷いた、その顔には無邪気な笑みが浮かんでいた。
「ほら、じゃあねっころがって、脚開こうね」
男にされるがまま、透華は蛙のような格好をさせられた。
陰部を隠そうかと思ったが、それは無駄な抵抗だと悟り、胸元で手を組んだ。
「ほら、透華ちゃん、おしっこしてよ」
男は透華の陰部に指先で触れると、くすぐった。
尿意自体は確かに存在していた。
「……んっ」
少し踏ん張ると、勢いよく黄金色の液体は飛び出し、アーチを描いた。
「うわあ」
男はそれへ目を輝かせると、そこに飛び込んだ。
顔に透華の尿を浴びながら、近づいていき、口をつけて飲み始めたのだ。
「いやっ、なにしてるのっ」
男は「んっ、んくっ」と喉を鳴らしながら、出てくる尿を飲む。
透華は止めようとしたが、一度出始めた尿は止まらず。
最後の一滴まで男は飲み干してしまった。
男は口元を拭うと、
「おいしかったぁ」
爽やかな笑顔でそう言った。
透華は顔を引きつらせ、首を何度も振った。
「……かしい……」
「うん?」
548 :Never too late(B)17/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 13:03:58 ID:M2bVtiI9
男は首を傾げた。
「あなた、あたまおかしいんじゃないの? おしっこなんて飲んで、頭悪いんじゃないの」
透華の言葉に男はああと頷いた。
「透華ちゃんは飲んだことがないんだね、じゃあ、飲ませてあげるよ」
「え……」
そういうと、男はチャックを下ろし、陰茎を取り出すと。呆然としたまま口を開いている
透華の顔へ、腰を寄せると、柔らかい唇を割り入ってくわえさせた。
「ふごっ」
「ちょっと待っててね……んっ……でるよ」
男がそういった次の瞬間、尿道口から尿が飛び出した。
「ふぐっ」
飲むきなどない透華の口からはどんどんと尿が溢れていく、それでもかまわず、男は尿を
し続けた。
溢れる量に比べ、出る量が少ないため、どんどん口の中に尿がたまっていく。そのせいで
まともに呼吸することすら出来ず、透華は尿を飲み込んでしまった。
「……ふぐっ……うぐっ……う、ううっ」
「おいしい? 透華ちゃん? おいしいよね?」
飲みきれない尿が鼻から飛び出た。
鼻でも呼吸できなくなって、透華はもがいたが、男に押さえつけられ抜けれない、次第に
意識が遠のいていき――すんでのところで、尿は終わった。
「がはっ……げほっ……おえっ……」
透華は地面に口の中に残っていた尿を吐き出すと、男を突き飛ばした。
「この変態っ」
透華は口内から消えない不快な味に苛立ちながら睨みつけた。
すると、男の笑顔はひび割れていくように消え、無表情に戻ったかと思うと、再び笑顔に
戻った。
「うんちしたいの?」
「聞きなさいよ、人の話をっ」
「仕方ないなあ」
男は透華の腰を持ち上げると、尻の穴に触れた。透華のアナルは綺麗でかわいいなと男は
思った。ここからどんな太いうんちを出すんだろうと考えると、射精してしまいそうだった。
「ほら、お兄ちゃんが手伝ってあげるから」
そう言いながら、透華の菊門に指を突き刺した。
「はうっ……や、やめて……」
「ほぐしたらでやすくなるよね」
男は優しい笑顔で言った。
透華は、涙を流し、叫ぼうとして。
「やめてやれ」
田所が止めた。
「え?」
「そろそろ伊佐美紅が来る、外で立っていろ」
男は少しだけ不機嫌そうに表情を歪めたが、「はーい」と言って透華から離れていった。
田所は透華のそばまで来て、尿まみれになり、腹に青あざをを浮かべた姿を見て。不意に
孤児院時代のことを思い出した。
あの頃、見た目がいい少女がはいってくると、大人たちの手によってこうした――いや、
これ以上にひどい姿になったのを見たことがあった。
だが誰も同情しなかった。
それどころか、施設にいた少年たちはそうなっている少女を部屋に戻すといって、連れて
行くと更に集団で性的な暴行を加えることがあった。
そこに、自分も加わっていた。
今でもにたようなことをしている。
三つ子の魂百までとでもいうのだろうか?
「……違う」
田所は呻くように呟くと、透華の腹を思い切り踏みつけた。
「立て」
透華は黙ってそれに従った。
それが気に食わなかった、施設にいた少女のようだと思った。
透華は飯島の前まで連れて行かれ、飯島の姿を見て、「ひっ」と短い息をもらした。
顔が変形して、既に誰だか分からなくなった飯島は、下半身を露出させられていた。その
赤黒い陰茎は大きく痙攣を繰り返しながらカウパーを撒き散らしていた。
549 :Never too late(B)18/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 13:04:30 ID:M2bVtiI9
だが、飯島には意識がないようだった。
「座れ」
田所は言った。
透華は地面に座ろうとしたが、田所は「違う」といった。
「飯島さんの陰茎の上に、だ」
「……え?」
田所は透華が男たちによって嬲られている間、飯島にいくつもの薬を飲ませていた。既に
飯島の意識はこの世になく、ただただ身体は死ぬまで精液を垂れ流すだけのものと成り果て
ていた。
「飯島さんので、処女膜を破れ、そうしたら助けてやる」
そういって、透華の後頭部に銃口を押し付けた。
「そんな……」
透華は喘いだが、抵抗しようとはしなかった。
「早くしろ」
「……はい」
透華は飯島の身体にまたがり、ゆっくりと腰を下ろしていった。
「ひっ」
陰部に亀頭が触れると、透華は悲鳴をあげた。
これを今から中にいれるのかと思うと、透華は泣きたくなった。それでも死にたくないと
いう感情が勝って、透華は自らの陰唇を押し開き――挿入した。
「……ひぐっ」
飯島の太い陰茎は亀頭まで透華の膣に挿入されると、その反動だけで射精した。
「い、いや、なにかでてるの……なにこれ……いやあ……」
抜こうとしたが、拳銃を押し付けられて、透華は泣いた。
透華は飯島の肩を掴むと、びくんびくんと射精を続ける陰茎を、ゆっくりと飲み込んでい
き、わずかにひっかかりを感じたが、強引に押し込むと。下腹部に痛みが走るのを感じた。
「い、いたぃよ……なんか……痛いの……」
「根元まで咥えこめ」
「……む、むり……いやっ、……やるから……ころさないで……」
透華は飯島の太く長い陰茎を根元までくわえ込んだ、その亀頭は子宮口をノックするよう
にカウパーか精子か分からないものを垂れ流し続けている。
「腰を動かせ」
言われたとおりに腰を動かすと、飯島の陰茎はその度に熱いものを膣の中で放出する。
じゅぷっ、じゅぷっ、水音が倉庫の中に響くのを未ながら田所は思った。
――アンタには何も守れない。
田所にとって、飯島は上司であり、人生の教師であり、父だった。
田所は常に飯島に親としての愛情をもとめていたが、飯島は自分の方をふりかえってくれ
なかった。それどころか幼い少女を連れてきて、娘として育て始めた。
それだけならば飯島はいい人だと思ったが、田所はある日見てしまった。
まだ中学生の紅と性交している飯島の姿を。
気持ち悪かった。憎かった。悔しかった。いくつもの感情がないまぜとなっていき、田所
は自らが狂っていくのを自覚した。
慕っていた飯島に、憎しみの感情を向けるようになってしまった。
それ以来だった、田所は女を抱けなくなった。
飯島の肉棒を自らの肉壷でしごく透華を見ても、田所はなにも感じなかった。服の上から
陰茎に触れてみたが、勃起する兆候もない。
ただ喘ぎ声を撒き散らし、汁を溢れさせる少女の肢体を見て、田所は思うのだった。
自分も少女だったら、飯島にかわいがってもらえたのだろうか、と。
「ふ……」
それこそくだらない幻想だと思った。
自分が少女だったのなら、あの施設の中で死んでいただろう。
それに全ての決着はついてしまった、もう後戻りはできない。
あとはこの少女に親殺しの復讐をさせるだけだ。
田所にとって、今回の事件は途中から目的がすりかわっていた。
組織から飯島と食い合わせられると分かった瞬間、田所は飯島と紅を始末することを思い
立った。
ただ、普通に殺すだけでは心が晴れない。
田所はそう思い、少女に銃を渡した。

550 :Never too late(B)19/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 13:05:31 ID:M2bVtiI9
***

紅は倉庫街につくと、透華がいるであろう倉庫の前にマヌケにも二人の黒服が立ってい
るのを見つけた。そんなところでぶらぶらしていたら、ここにはなにかありますといって
いるようなものだった。
紅は片手で銃を抜くと、まず一人を撃ち殺し、次の一人へバイクの前輪をぶつけた。
「ここか」
バイクを降りると、倉庫の壁に耳をあててみた。だが物音一つしないし、隙間から覗い
ても電灯の類はつけられていないようだった。
紅はいぶかしみながらも、正面から倉庫に入った。
すると、予銃弾が紅を襲った。
「くっ」
避けることすら出来ず、脚に一発食らってしまった。
反撃しようと銃を構え、直ぐに引き金を引こうとしたが――
「……なっ」
そこだけ光があたっていた。
青白い月光が独りの少女を照らし出している。
その少女は一切衣服をまとっておらず。
その少女の膣からは一筋の血が流れていた。
その少女はその手には大きい銃を持っていた。
その銃口は紅へ向けられていた。
「うそだろ……」
そこにいたのは、
「柊、透華。なんで……」
それに答えたのは、銃声だった。

<ED――引き金>

透華は飯島と田所がでていった倉庫のなかで一人きりでいた。
田所が警察を呼んでくれたそうなので、もう直ぐ帰れると透華は思った。
田所に言われたことを思い出した。
『パトカーのサイレンも鳴っていないのに扉が開いたら、これで撃つんだ』
はい、と透華は答えた。
その通りにした。
黒コートをきたその人は、苦しそうに呻いていたが、よく聞こえなかった。
透華はもう一発引き金を引いた。
それは侵入者の頭を撃ち抜いたけれど、透華は腹部に強い衝撃をうけて倒れてしまった。
「あ……れ? なんだろ……?」
透華は銃を捨て、腹部に触れた。
べっとりと粘性の高い液体がついていた、今も溢れている。
「なん……だろ……?」
精液だろうか?
飯島の陰茎は透華の身体をべたべたにしてしまった、気持ち悪いことだ。
なんだか眠いと透華は思った。
まだサイレンは聞こえない。
透華は警察が来るまで眠っていようと思った。
サイレンが聞こえたら起きれるだろう、そう思って。
ゆっくりと、まぶたを閉じた。

551 :Never too late(B)20/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 13:06:42 ID:M2bVtiI9
>>541から
透華は寄り添わせるように紅に自らの身体を重ねた。
少女の重さ、柔らかい身体を、紅は片腕で抱いた。
それを透華は抵抗もせず、受け入れた。
「紅さん、これを」
「ん?」
透華は、紅の手に銃を握らせた。
「……透華?」
紅は手に触れた硬質な感触を掴んだ。
その瞬間だった、透華は引き金を引いた。
「――っ!」
紅は左手の感覚が失せて、そこに炎を押し付けられているような痛みを覚えた。
力をこめて、銃を奪い取ろうとしたが手は反応しない。
それは当然だった。
紅の手は、手首とその先が別れ別れになってしまっていたのだ。
「なにを……」
それでも紅は強い自我で痛みに抗った、まだ反対の手がある。
「だめですよ」
右腕が撃たれた。
「……ひっ……があああああああああああああああああああああああああああああ」
紅は獣のような咆哮を上げて、痛みに抗おうとした、そして眼前にいる敵を殺そうと決め
たのだが。口がふさがれてしまった。
透華は紅の唇に自らの唇を重ねて黙らせると、ゆっくりと赤い糸を引かせながら離した。
「うるさくしたら」
紅は両腕が動かなくなっても、まだ抵抗しようとする。
透華は唇を尖らせた。
なんで、こんなに騒ぐんだろう?
死ぬほどじゃないのに、父さんを殺したくせに、なんでこんなに大騒ぎするんだろう?
「いたいんですか?」
紅はじたばたと暴れまわっている、腕からは血がどんどんと溢れていって、周囲に血だま
りを形成していく。
透華は黙らせようと思って、更に撃った。撃たれていないほうの脚を。
そうすると、紅は動きをとめた。まだひくっひくっと痙攣していたが、それでも透華でも
十分に押さえ込める。
「ねえ、紅さん。わたしね、紅さんのこと好きですよ」
詠うように少女は言った。
ゆっくりと紅の身体から衣服を剥ぎ取りながら。
「お父さん殺しちゃったけど、でも、紅さんのこと、好きなんです。おかしいですよね」
紅の身体は美しかった。
自分の余分な脂肪がついた肉体に比べて、紅の身体は無駄がなく、綺麗だった。
透華は紅の乳房に舌をはわせてみた。
勃起し硬直した乳首を歯で噛むと、紅はわずかに喘ぎ声をあげた。
「紅さん、気持ちいいんですか?」
紅はなにも答えない。焦点のあわない瞳で空中を見つめている。
透華は不機嫌そうに頬をふくらませた。
「答えてくださいよ」
「――あがっ」
傷口に触れると、紅は身体を痙攣させて悦んだ。
不思議だった、どうして憎いはずの相手を好きになってしまっているんだろう?
父を殺したのが紅だとしって、透華は最初信じられなかった。だけれど、紅は人を殺すこ
とを仕事にしている、だとしたら紅が父を殺していても不思議ではない。
――紅さんが父さんを殺した……?
紅は恨んだ、騙されたと思った。今までやさしい顔して傍にいたのが、父さんの研究を奪
うためだと知って怒りに震えた。
だけれど、恨みきれなかった。
紅のことを知らなければ殺すこともできただろう。
紅の傍にいなければ復讐を遂げていただろう。
だが、透華は紅を知ってしまった。だから、もう殺すことはできなかった。少女の幼い魂
ではそんな判断は下せなかった。
だから透華は――紅を自らのものにしようと思った。
552 :Never too late(C)21/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 13:08:32 ID:M2bVtiI9
***

港に、一台の車が停まっていた。
田所は煙草をふかしながら、時間が過ぎるのを待った。
もう透華は紅を始末したころだろうか?
そんなことを考えていると、後部座席の飯島が口を開いた。
「俺のせいなのか?」
田所は紫煙を吐き出した。
「なにがです?」
「今回のことだ」
縄で縛り上げられ、暴行を加えられても、この老練な男は己我を失うということはなかっ
た。だからこそ殺さずに、生かしておくことにした。
この男に自分の生き様を見せ付ける。田所はそう考えていた。
「組織は俺とお前、二つのグループへ同じ指令を与えた、食い合わせるためにだ。しかし、
お前も俺も最終的に柊透華を引き渡す相手は同じだったはず。二つのグループを食い合わせ
たのは、失敗したという結果も必要だったからだ」
組織は二つあるいはそれ以上の組織から、今回の件に関して依頼を請けていた。というの
が飯島の考えだった。
全ての組織にとって味方であり敵である、そのスタンスを貫くためには、どこかの依頼を
請けて他の依頼を請けないという選択肢は存在しなかった。
そのために、あらかじめ引き渡す企業を決めておき、他の組織には失敗したと証拠つきで
伝えるつもりだったのだろう。
「そうですね。私もそう考えています。組織にとって私たちは捨て駒に過ぎない」
誤算があるとすれば、それは組織が指令を下した二つのグループに同時存在している田所
の存在だろう。
「気づいていたのなら、何故」
飯島は苦い顔で言った。
田所は答えず、煙草をふかした。
言ったところで飯島が納得するとは思えなかった。
田所にとって自らが存在するグループも構成員もどうでもよかった、自分さえ生き残れる
のならそれでよかった。それが田所が、唯一孤児院で学んだことだった。
自らのためなら他者を蹴落とせ、それが田所の生き方だった。
田所は二つのグループで争わされていると気づくと、まず自分が生存するために動くこと
にした、だが途中からこれを利用できないかと考えるようになっていた。
田所はまず自分の生存を考え、次に伊佐美紅を始末するための方法を考えた。
真正面からの打ち合いでは紅に勝てるとは思えなかった、ならば紅に負担を押し付けよう
と思い、戦力にならない透華を預けたままにした。奪おうと思えば、いつでも奪うことはで
きた。
だが、紅は予想以上に強かった。
津田は無理でも、地沼なら行けるだろうと思ったが返り討ちにあい。ならばと集団で襲わ
せたが、それでも駄目だった。
最後に残ったのは、紅には撃てないだろう存在によって紅を殺させる。
その考えをひらめいた当初は、飯島に殺させるつもりだった。
しかしそれはできなかった。
万が一、紅が反撃し、飯島を殺すようなことになるのは赦せなかった。
飯島の愛情を独占した上更に、飯島の死まであの女のものにはさせたくなかった。
故に田所は透華を使うことにした。
透華に正常な判断をくだせなくなるような薬を投与し、銃を与えた。
今頃透華は紅を殺していることだろう。
いくら紅といえど、幼い少女を殺すことはできないはずだ。
「遼」
「なんですか?」
田所は吸殻を海に捨てると、首だけ振り返った。
「なんでも思い通りにいくと思うなよ」
「……はい?」
「お前は力があればなんでもできると思い込んでいる、そう信じているんだろう。だがそん
なのはただの傲慢だ。力じゃ手に入らないものだってある」
「……それで?」
田所は黙して聞いた。
553 :Never(C)22Σ(゜д゜)!/21 ◆DppZDahiPc :2009/01/09(金) 13:10:27 ID:M2bVtiI9
飯島はぺっと血を吐き捨てると、笑って言った。
「それだけさ。お前が思っている以上にうちの娘は強いぞ、お前がどんな策をろうしたって
、それをぶちやぶるだろうさ」
田所は「くっ」と喉を鳴らし、顔を引きつらせた。
「私は貴方を、貴方が作ったものを破壊する、それだけのことです」
そう言って車から降りた。
外の風は冷たく、いまにも雪が降ってきそうだった。
田所は足早に倉庫へと歩いていく、もう透華が紅を殺し終えただろう、死体を確認したか
った。或いは、殺せていなければ、その手助けをしようと決めた。
倉庫へと戻っていく道の途中、人影が田所の前に現れた。
その人影は漆黒のコートをまとっていた。
無言で銃口が向けられる。
「くっ」
透華は失敗したということか。
田所は内ポケットから拳銃を抜き、直ぐに撃った。
避けるべきだった。
田所は胸に強い衝撃を受けて、そう思った。血が口から溢れた。
「……だめ、だったのか……私は、俺は……」
薄く雪が積もったコンクリートの地面に倒れ、田所は見た。
黒いコートはよろめき、同じように倒れた。
田所は満足げに笑い、その生涯を閉じた。

<ED――ちからの行方>

紅は両腕を撃たれ、両脚の自由を奪われてなお、生きることをあきらめていなかった。
自分はこんなところでは死なない。
まだ直治の役にたてていないのだから、こんなところで死んだら駄目なんだ。
そう思いながらも紅は理解していた。
自分の生命がもう尽きようとしていることを。
ならば、と紅は思った。
ぼやけた視界、紅は首を動かし透華の姿を求めた。
透華は紅の上に乗ったまま眠ったかのように動いていない。
「……ど……ぐっ……とお、か」
うまく声がだせなかった。
それでも透華には届き、透華はゆっくりと顔を上げた。
視線が絡む。
「なんですか?」
紅はその瞬間、自らを死の淵に追い込んでいる相手でありながら、透華のことを可憐だと
思った。
透華の髪に触れたいと思ったが、腕は動かなかった。
ゆっくりと口を動かして、透華に自分の考えを伝えた。
それをしてくれたら、未来永劫透華の傍から離れないと約束した。
すると透華は涙をこぼし、従ってくれた。
透華は紅のコートを着ると、そのぶかぶかさに照れたように笑った。
紅も笑い。
「似合ってるよ」
そう言ったが、紅の目は既に光を失っていた。
「それじゃ、行ってきます」
「ああ、頼んだよ」
身体も動かせず、目も見えなくなった紅は、ゆっくりと訪れる死神の鎌をその首に感じな
がら。その瞬間を待った。

そうして、重なるように銃声が鳴った。

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