家の近所に大きい公園があった。

「C県民の森」大半が雑木林。

その中にアスレチック施設やバーベキュー場。

とにかく大きい公園だった。

周辺の小学校の遠足の目的地になったりする、地元ではチョット有名な公園。

ただ、夜になると様相が変わり、大人には「近づかないように」と言われていた。

敷地の一部に打ち捨てられた神社があり、大人も気味悪がって近づかない上、近接する道路は郊外型の国道で万一何があっても誰も気がつかないであろう環境。

もちろん誰も夜は近づかなかった。

夏休みなど、高校生たちが肝試しをする以外は。

 小さい頃からよく遊んだ公園。

友達と遊んだりケンカしたり、探検したり。

・・・エッチのことを知ったのもこの公園だった。

小学4年生の頃、クラスの女の子と遊歩道から離れて雑木林を探検中に見つけた大人の漫画。

二人でしゃがんで食い入るように読んだのを覚えてる。

その中の作品に女の人が無理矢理男の人に襲われる話があった。

嫌がっているのに気持ち良さそうにしている主人公の女の人。

そのときは理解できなかったが、とにかくその作品が一番ドキドキした。

その夜、家に帰って男の人に虐められる想像をしながら、初めてエッチな気持ちでおっぱいを触った。

それからひとりエッチを覚えるまでそれほど時間はかからなかった。

その作品が私の性癖の基礎になってしまった。

襲われたい。

中2のとき、当日付き合っていた高校生の彼と初めてのエッチをした。

そんなに痛くもなかったし、こんなもんか、というのが正直な感想だった。

このあたりから妄想が過激になっていった。

彼とのエッチの頻度は週に一度くらい。

私は彼の自己中で稚拙なエッチには全然満足できず、むしろエッチした夜は、知らない人にレイプされる妄想をしながら自分で自分を満たした。

犯されたい。

中3の秋、彼とも別れ、受験も推薦で早々に終わった私は、時間だけを持て余した。

妄想する時間は増し、昼間からエッチなことを考え、我慢できなくなると自分の指で慰めた。

道具も鉛筆や紐の類いでは我慢できず、ついにネットで買った。

家では飽き足らず、夜人気の無い歩道橋でしてみたり、学校の空き教室でしてみたり。

およそ考えられる変態的なひとりエッチをやり尽した。

襲われたい襲われたい襲われたい。

犯されたい。

そしてある日ネットで出合ってしまった。

レイプ願望の出会い掲示板。

書き込みをみているだけでクラクラきた。

そこには出会いを求める書き込み。

襲いたい。

襲われたい。

犯されたい。

犯したい。

嬲られたい。

大の大人の男女の欲望を叩き付けるような書き込み。

そうか。

ネットって手があった。

真剣に後腐れ無くていいとか考えてた。

その日から数日間。

葛藤が続いた。

思いを書き込んでは送信が押せない。

どっかで待ち合わせるの?ホテル行くの?家に呼ぶの?ありえない。

バカみたい。

私バカかも。

それはレイプじゃない。

狂ってる?怖い。

今日は書き込もう。

欲望を満たしてもらおう。

でも戻って来れなくなるかも・・・。

葛藤。

襲われたい犯されたい襲われたい。

犯されたい。

 そんな私が毎日覗いていたのが某巨大掲示板。

その日は悶々とした気分で覗いた。

ふと、私は思った。

「レイプ掲示板は怖いけど、ココの人たちならそんなに怖い人ではないかも」根拠は無い。

書き込んでしまった。

なぜかこの掲示板で「書き込む」を押すのは抵抗無かった。

内容は簡単。

「レイプ願望があります」と自分の特徴。

私は中学校のセーラー服で行くことにした。

冬服なのに白地にグレーの襟、スカートもグレー。

ちょっと特徴のある制服。

場所はあの「C県民の森」の中にある池のベンチにした。

書き込み後の反応を見ていると、たしなめる人、「近くだよ!」と騒いでくれる人。

さまざまだった。

時間は深夜を指定した。

親の寝静まった後、こっそり出て行く必要があったから。

時間まで後4時間ある。

4時間後、自分が置かれている状況を想像していつもより激しくイッた。

夜2時。

家を抜け出した。

家を抜けて友達とだべることはよくあったので、今思えば親も見て見ぬ振りだったんだろうな。

制服ではさすがに目立つので、私服のコートを羽織って行った。

通学用のスポーツバックには、汚された場合の着替え。

そしてゴム。

こんなんもってって、いつ着けて付けてもらうつもりなんだろうと、国道を歩きながら苦笑したのを覚えてる。

今思い起こすと、恥ずかしくなるくらいだが、当時は完璧だと思っていた。

道は次第に街灯りから遠ざかり、気づけば公園まで数百メートル。

明かりは背の高い街頭と電話ボックスだけ。

もう息づかいも荒くなり頭もぼーっとしてクラクラしてきた。

パンツは音がするくらいぬれていたと思う。

入口にたどり着いた。

リスと熊のイラストと「C県民の森」の看板。

昼見ると可愛いんだけど、夜見ると不気味。

やっとたどりついた!やっとやっとやっと!襲われる!犯される!表から入るのは抵抗があったので、横の駐車場から入って行く。

ずっと近くに住んでいたが、夜の公園をこんなに近くで見たのは初めて。

背の高い雑木林が真っ黒な陰になって迫ってくるようだ。

林に踏み込むと枯れ葉を踏む自分の足音と、風に枝がそよぐサラサラという音しか聞こえない。

シーンとして、耳が痛い。

襲われたい!襲われる!犯されてめちゃくちゃにされる!興奮で自分では立ってられない。

呼吸も整えられないくらい興奮する。

林を抜けると中央の広場に出た。

ここは結構明るい。

広場を横切りアスレチック広場。

またうっそうとしてくる。

その中の池の畔。

電灯の下にあるベンチに腰を下ろしコートを脱ぎバックにしまった。

すぐもうすぐもうすぐ滅茶苦茶にして!メチャクチャに!誰が見てる訳でもない。

でも私は可能な限り平静を装う。

はぁー、はぁー、はぁー。

期待と不安と高揚と恐怖で頭の中が真っ白になる。

呼吸が整わない。

たまらず胸を制服の上から軽く摩る。

腰が仰け反る。

ダメダメ。

こんなとこ見られてからじゃレイプっぽくない。

平静平静平静。

はやくきて。

何十分待っただろう。

いや、数分だったのかも。

体の芯は音がしそうなくらいあつくなっているのに、だんだんと冷めてくる。

あんな書き込み、怪しくて誰も信じる分けない。

バカだな、私。

聞こえるのは私の鼓動と、シーンという音だけ。

どこかで切れかけの電灯があるのか、独特のピーンピンピンという音が遠くで響き渡っている。

ガサっきた!!「ネットの・・・」かすれるような声。

男の声。

興奮してるのを押さえているのがこの一言だけでも伝わるほど高揚したうわずった声。

私しかいない。

私に向けられたどこの誰だか知らない男の声。

自分でも驚くほど、ゆっくりと立ち上がる。

声は後ろから聞こえた。

振り向かず走る。

鞄を小脇に抱える。

怖い。

バカじゃないの?今気がついた。

広い公園の真ん中。

一番近くの人通りまで1キロ以上ある。

知らない。

欲望の固まりになった男と二人きり。

殺されるかもしれない。

怖い怖い怖い!!「ちょ!!」と声を上げておってくる男。

思ったより足が速い。

ひ弱なオタクばっかりじゃなかったの?ダメ。

逃げ切れない。

真っ暗な森のトンネル。

一本道の遊歩道を走る。

息が切れる。

怖い。

脇の雑木林に迷わずそれる。

小さい頃から走り回った公園。

ここなら巻ける。

小高く摘まれた小山を越え、くぼみに身を潜める。

なんだかココに来て惜しい気がしてきた。

遊歩道をきょろきょろしながら歩く男が見える。

男は雑木林の中を覗くようなそぶりを見せるがこの暗さ。

見える訳が無い。

早く居なくなって・・・。

 数分後、男はとぼとぼと元来た方向に去って行った。

闇にその姿が消えるのを見てホッと息をつく。

直後、後ろから口を押さえられ、枯れ葉の上に引倒される。

落ち窪んだ地形で枯れ葉がクッションになり痛くはなかった。

?!!!ひどい匂いが鼻を突く。

何がおこったか理解できない。

「こんなとこで何してんだ。

ひひ。」ひどく訛った低い声。

声の主は私に馬乗りになる。

木の間から漏れる明かりで顔が見える。

全く手入れされていないヒゲ面に伸びるままにした髪の毛。

にやりと笑った口から前歯の無い歯垢に汚れた歯が覗いている。