公立更級(さらしな)高校の制服は青いブレザーにオレンジのリボン、黒いショートスカートと
いう組み合わせだ。。一部の制服マニアに絶大な人気を誇る可愛らしいデザインで、実際、この制服
に憧れて赤嶺高校を受験する少女も少なくない。
「ねえ、美緒ちゃん。この間の小説、どうだった?」
放課後の喧騒の中、天道沙夜(てんどう・さや)が小声でたずねた。
抜けるように白い肌が印象的な少女だった。艶やかな黒髪を肩のところで切りそろえた、可憐な
容姿。清楚な雰囲気をふんだんに備えた、文句なしの美少女だ。
「あー面白かったよ。特に、主人公が幼なじみと二人っきりになるくだりに、あたしは萌えたね。
ラブラブ路線一直線って展開が、あたし的には二重丸っ。沙夜、きっとプロの小説家になれるよ」
「こ、声が大きいわよ、美緒ちゃん……」
沙夜は顔を真っ赤に染めて沢木美緒(さわき・みお)の口を塞いだ。小説を書いていることは恥
ずかしくて、親友の美緒にしか言っていない。クラスの誰かに聞かれたのではないかと、思わずあ
たりを見回してしまう。
「恥ずかしがり屋だねー、沙夜は。ホントに内気なんだから」
美緒がにやり、と笑った。まるで男の子のような爽やかな笑顔だ。明るい亜麻色の髪をセミロン
グに伸ばしている。すらりとした四肢は健康的な魅力を放っている。沙夜とタイプこそ違うが、負
けず劣らず美しい少女だった。
「私が小説書いてることは、皆に内緒だって言ってあるじゃない」
「あはは、ごめんごめん。つい……ね」
「もう……」
「怒らないでよ、沙夜。ごめんなさい、ってば」
美緒がふざけ半分に抱きついてくる。彼女の豊かなバストと自分の胸が擦れ合い、沙夜は思わず
顔を赤らめた。
「ち、ちょっと、美緒ちゃんっ──」
先端部分がこすれ、背筋に軽い痺れが走る。清楚な顔をして敏感なのだ。
「あれ、沙夜、顔赤いよ。ひょっとして感じた?」
「エッチなんだから……」
あっけらかんとした友人に、沙夜はため息を漏らす。

そのとき、一人の男子生徒が教室のドアを乱暴に開けた。
炎のごとく逆立てた金色の髪。耳には三連のピアス。いかにも不良然とした、凶悪な容姿の少年。
近寄れば、それだけで切り裂かれそうな──剥き出しのナイフのような殺気を放っている。
同じクラスの篠原龍次(しのはら・りゅうじ)だった。沙夜たちと同じ一年生ながら、すでに三
年生からも一目置かれているという凶暴な不良少年。今日は一日中授業をサボっていたのだが、放
課後になったため自分の荷物を取りに来たようだ。
彼は授業をサボる常習犯で、大概の時間は屋上でひとりタバコを吸うか、校外で他校の生徒と喧
嘩や抗争に明け暮れている。それでいて、他の不良とつるんでいるわけでもない。昔風に言うなら
孤高の一匹狼といったところだった。
彼の放つプレッシャーに気圧されてか、今まで雑談していた生徒たちは怯えたように口をつぐん
でいる。
そのとき、龍次がちらりとこちらを見た。まるで抜き身の刃物を突きつけられたような強烈な眼
光に、沙夜は思わず身をすくませる。
が、それも一瞬のことで、龍次は自分の荷物を持って教室から出て行った。
「……あたし、もう行くね」
美緒が口を開いた。その表情は、先ほどまでとは一転して暗い。血の気が引いている、といって
もいいくらいだ。
(どうかしたのかしら、美緒ちゃん……?)
沙夜は、彼女の様子がおかしいことを訝った。いつもは明るすぎるほど明るい少女だというのに、
今はその明るさが影を潜めている。
先ほどの不良少年を目にしてから、明らかに様子がおかしい。
「部活の時間だし」
美緒は野球部のマネージャーをしている。更科高校の野球部は強豪で、部員数もそれなりに多い。
いつまでもここで油を売っているわけにはいかないのだろう。
「じゃあ、私もそろそろ文芸部に行くわね」
一方の沙夜は文芸部に所属している。こちらは大半の文化部の例に漏れず、幽霊部員の多いクラ
ブだが、プロの小説家を目指す彼女は毎回真面目に出席していた。
「ええ、それじゃまた明日……」
美緒はどことなく虚ろな口調で告げると、教室を出ていった。
無人の屋上で、一人の少女が床にひざまずいていた。
「うめぇな、美緒。なかなか上達してきたじゃないか」
美少女の奉仕を受けている金髪の少年……龍次が満足げにうめく。龍次が見下ろす先で、彼女─
─美緒は露出した肉茎を一心不乱にしゃぶっていた。ぺちゃぺちゃ、と湿った音を立てて、可憐な
唇の中に自分のイチモツが出入りする。
生唾ものの光景だった。
龍次は美少女の性技にすっかり満足しながら、ふーっとタバコの煙を吐き出した。
「そろそろ、いいだろ。おら、ケツ向けろよ」
「やだ。今日は、本番はしないって……」
「うるせえな。ガタガタ言わずに這いつくばれよ」
龍次がいらついた口調で命令する。
美緒はびくっと体を震わせ、しぶしぶといった様子で四つん這いになる。スカートを捲り上げる
と、ストライプ柄の下着が見えた。
強引にむしりとり、白い尻を露出させる。肉付きのいい、見事な臀部だった。女子高生離れした
妖艶さに引き寄せられ、龍次は尻肉を鷲づかみにする。
恐怖のためか、それとも生理的な反応なのか処女同然の小さな膣口がひくひくと喘いでいる。
「へっ、嫌がってる振りしても、しっかり濡れてるじゃねえか」
「い、嫌……そんな……」
「あの時はやたら泣きわめいてたのによぉ」
初めて彼女の体を奪ったときのことを思い出す。
──彼が沢木美緒を犯したのは、二週間ほど前の話だ。
美緒は野球部のマネージャーをしており、部活動が終わって帰宅しようとしていた彼女を龍次が
襲ったのだ。どうやら同じ野球部内に恋人がいるらしく、美緒は死に物狂いで抵抗した。
だが、所詮は女の力。本気を出した龍次の前には無力だった。誰もいない校舎裏で、龍次は美緒
を犯した。
美緒は──処女だった。彼氏にも許していなかった純血を、龍次は力ずくで奪い取ったのだ。以
来、彼女は龍次の性奴隷として、呼び出すたびに股を開いている。
龍次はぐいっと柔らかな尻の双丘を揉みしだく。勃起したものを尻の合わい目にあてがった。
美緒は表情を引きつらせ、こちらに首をねじ曲げて懇願した。
「せ、せめてゴムをつけて……今日は危ない日だから」
「知るかよ」
龍次はタバコを咥えたまま彼女の腰を引き寄せると、ぐいっと一息に突き入れた。
「あはぁっ!」
男のシンボルを胎内いっぱいに呑み込んでしまうと、美緒は短い嬌声を上げた。すらりとした四
肢を突っ張らせ、背中をのけぞらせている。セミロングの髪の毛を振り乱し、美少女は必死で叫ん
だ。
「駄目……ナマは駄目っ! お願いだから抜いてっ……!」
「うるせえ。そらっ、動くぞ」
己の分身が柔らかな粘膜に包まれる快美感。最高だった。龍次はタバコの煙をふーっと吐き出し、
勢いよく腰をたたきつけた。まだ処女を失って日が浅い少女に、容赦のないピストンを浴びせかけ
ていく。
「うっ、痛い……も、もっとゆっくり……」
苦痛を訴える美緒にもおかまいなしに、ますます腰の動きを加速させていく。
ぱんっ、ぱんっ、と白い太ももに己の腰をたたきつけながら、龍次は彼女の胸に手を伸ばした。
平均以上の膨らみを誇る、むっちりとしたバストを鷲づかみにする。ギュッと力を入れて揉みしだ
くと、美緒が短い喘ぎ声を漏らした。
「んっ、んんんっ!」
「いい声で鳴くじゃねえか、そらっ!」
龍次が最奥まで突き入れる。
ぱんっと肉のぶつかる音が響き、美緒は背中を仰け反らせた。バックからピストンを浴びせると、
引き締まった体が跳ね上がり、すらりとした四肢が硬く突っ張った。同時に狭い肉壷がきゅっと締
まる。龍次の分身を堅い粘膜が心地よく絞り上げた。
「いいぜ、その調子だ」
「駄目……」
美緒は力のない声で懇願した。
「もう許して……」
龍次はいったん腰の動きをスローダウンさせ、肉襞の感触を味わうように男根を出し入れした。
白く濁った愛液が、重なり合った肉の隙間からジワリッ……とにじみ出す。ぬちゅ、ぬちゅ……肉
と肉とがぶつかりあう音が一打ごとに湿り気を帯びてきた。
なんだかんだいって、美緒も感じているのだ。そのことに気づき、龍次は口の端をゆがめた。
──所詮、女なんて突っ込んじまえば同じだな。どいつもこいつも、下品にアンアン喘ぎやがる。
「そろそろお前の中にぶちまけてやるからな」
龍次が言い放ったとたん、美緒は激しく身悶えした。
「待って、今日は危ない日なの! 赤ちゃんができちゃう!」
「あーん? 知るかよ」
龍次はラストスパートに入った。
「俺は、俺さえ気持ちよけりゃそれでいいんだ。まあ、ガキができちまったら、お前が自分で始末
をつけるんだな」
「やめて……やめてぇ!」
「おらっ、出してやるぞ!」
龍次は張り詰めたペニスを最奥まで埋め込み、体を小刻みに震わせた。どくっ、どくっ……若い
子宮があふれかえるほどの勢いで精液を注ぎ込む。
「嫌ぁ……中で出てる……!」
無防備な膣内にたっぷりと射精されて、美緒が悲痛にうめいた。
「ふう」
龍次は一息ついて、肉棒を引き抜いた。右手の親指と人差し指で彼女の秘唇を大きく広げてやる。
ぽっかりと口を開いた秘孔の奥から、白濁した体液がゴポリとこぼれ落ちた。
龍次は精を放出し、半萎えになった肉茎を少女の口元に突きつけた。
「舐めろ。お前の口できれいにするんだ」
「お願い、もう許して……」
美緒が涙ながらに懇願した。
「駄目だ」
再度ペニスを突きつけると、美緒はあきらめたように唇を寄せていく。精液と愛液で汚れきった
肉茎に、顔をしかめながら舌を這わせた。精液で汚れきったペニスを唇と舌で舐め取り、きれいに
掃除していく。
「どうして、こんなことを……あたしが何をしたっていうの……!」
どろどろの肉棒を後始末しながら、美緒がうめいた。
「退屈なんだよ」
龍次が吐き捨る。
セックス中はそれなりに興奮していたが、射精してしまえば熱が去ってしまう。虚脱感とともに、
退屈感が込み上げる。男の、性だった。
「女を犯してれば、少なくともその最中は気分がまぎれるからな」
「ひ、暇つぶしにこんなことをしてるっていうの! ひどい!」
美緒が顔を上げて叫んだ。
「ひどい、だぁ? よく言うぜ。お前だって楽しんでたじゃねえか。最後は自分から腰振ってよ」
「あたし、付き合ってる人がいるのに……」
「じゃあ、彼氏によろしく言っておけよ。俺のほうがよかっただろ?」
「っ……!」
美緒は悔しそうに唇をかみ締めた。
「へっ、本当に悔しいんならもっと抵抗してみろよ」
龍次が吐き捨てる。
「退屈なんだよ」
もう一度同じセリフを吐いた。そう、この世のすべては退屈だった。だから、いつも刺激を求め
ているのだ。龍次は火の消えたタバコを放り捨てると、後も振り返らずに去っていく。
──屋上にはタバコの煙と、むせかえるような精液の臭いが充満していた。
公立更科(さらしな)高校。一年A組の教室。
「へえ、最終選考まで残ったんだ。すごーい、沙夜」
「そうなの。もう嬉しくって」
天道沙夜(てんどう・さや)の口元は朝から緩みっぱなしだった。沙夜は綺麗な黒髪をボブカッ
トにした可憐な美少女だ。新雪を思わせる真っ白な肌が、清楚な雰囲気をかもしだしている。
彼女は三ヶ月前、巴里出版の小説新人賞に応募した。そして昨日、最終選考に残った六人の名前
がホームページに出ていたのだが、その中には彼女の名前もあったのだ。
「現役高校生で天才美少女作家としてデビューできる日も近いわねっ」
親友の沢木美緒(さわき・みお)が軽口をたたく。大げさな言い回しに、沙夜は恥じらいのあま
り顔を伏せてしまう。
「び、美少女ってことはないけど……」
「えーっ、沙夜は可愛いと思うよ。クラスで沙夜のこと狙ってる奴、いっぱいいるしさ。そんなに
謙遜しなさんなって」
「や、やめてよ、美緒ちゃん……本当に恥ずかしいから」
と、
「へえ、天道さん、小説書いてるの?」
「夏目くん──」
沙夜の声が上ずった。
そこに立っていたのは秀麗な顔立ちの少年だった。一見華奢だが、武道で鍛えた体は抜群の敏捷
性を感じさせる。文武両道、という言葉が似合う美しい少年だ。
(夏目くんが、話しかけてくれた)
たったそれだけの事実で胸が高鳴る。心臓が、痛いほどの鼓動を刻む、
ただのクラスメート以上の存在として彼を意識するようになったのは、いつごろからだろうか。
最初は格好いいな、くらいにしか思っていなかったが、クラスメートとして接しているうちに外見
だけではない、彼の優しい内面に惹かれるようになっていった。
彼と接しているだけで心が暖かくなれる。陽だまりの中にいるような安らぎを覚える。
誰にでも分け隔てなく優しい──そんな彼が、沙夜は好きだった。
「僕もぜひ読んでみたいな」
少年──夏目涼(なつめ・りょう)が微笑んだ。すかさず、といった感じで美緒が声をかける。
「今度、読ませてあげたら? やっぱり男性読者の意見も大事でしょ」
「で、で、でも恥ずかしい……」
沙夜が消え入りそうな声でつぶやく。憧れの少年に自分が書いた小説を見られるなど、考えただ
けで気恥ずかしい。
「共通の話題になってちょうどいいじゃない。仲良くなるチャンスよ」
「み、美緒ちゃん、私は別にそんな……」
「彼のこと好きなんでしょ? ウブなんだから。態度でバレバレよ」
沙夜の耳元で囁き、うふふ、といたずらっぽく笑う。彼女の顔はこれ以上ないほど真っ赤に染ま
った。

『沙夜に彼氏ができたらWデートしようね。約束だから』

以前、美緒にそう言われたことがある。美緒には野球部の彼氏がおり、彼女自身はその部のマネ
ージャーをしていた。恋に恋する年頃の沙夜としては、恋人がいる友人が羨ましくてたまらない。
(私も、いつか夏目くんと──)
美しい少年に視線を走らせる。目が合うと、彼は爽やかに微笑んだ。初心な沙夜はたったそれだ
けのことで、どくん、と心音が高鳴らせてしまう。
(やっぱり格好いいな、夏目くんって。でも無理よね、私なんて……)
ライバルの数もハンパではないだろう。自分のように引っ込み思案な性格では絶対に無理だ。
(夢のまた夢よね。彼と恋人同士になるなんて……)
ついネガティブ思考に陥ってしまう。
そんな彼女に美緒が助け舟を出してくれた。
「そうなのよ。この子、小説家デビューも近いんじゃないかな」
「あ、あのあんまり大きな声で言わないで……やっぱり恥ずかしい」
「今さら何言ってんのよ」
「すごいなぁ。やっぱり僕にも読ませてよ。天道さんの小説」
「だって恥ずかしいもの……」
沙夜の顔が真っ赤に染まる。
「まんざらでもないんじゃない、二人とも」
二人の仲のよさをうらやむように、美緒がため息をついた。

窓の外でゆっくりと夕日が沈んでいく。すでに下校時刻だ。
沙夜は無尽の図書室でひとり勉強をしていた。先ほどから、勉強が手につかない。新人賞の最終
選考のことや、憧れの涼のことを思い浮かべると集中できない。
夢も、恋も、いい感じだった。
最近、毎日が楽しくてたまらない。
と、ガラリと乱暴に扉を開き、金髪を逆立てた少年が入ってくる。ケンカをした後なのか、制服
のあちこちが泥で汚れ、口元には薄く血がこびりついていた。
篠原龍次(しのはら・りゅうじ)。攻撃的に逆立った金色の髪。校則違反の三連ピアスが左の耳に
輝いている。何よりも彼を特徴づけているのは、近寄ったものすべてを切り裂くような……剥き出
しの殺気だ。
「まだ残ってたのかよ、優等生」
龍次が荒んだ口調でつぶやいた。不良少年の迫力に沙夜は息を飲む。
「俺が怖いか? ビクビクしやがって」
「な、何か用ですか……?」
「用がなきゃいけないのか?」
ねっとりとした視線が沙夜の全身を舐めるように眺める。
青いブレザーの胸元を押し上げる、形よく整った膨らみ。誰にも踏み荒らされていない新雪を思
わせる、純白の肌。
「優等生の割には、いい体してるじゃねえか」
龍次がぽつりとつぶやいた。
「お前なら……俺を楽しませてくれるのか」
ゆっくりと沙夜に近づいてくる。その瞳に宿る尋常ではない光に気づき、沙夜は席を立った。
「ヤらせろよ」
明らかな、欲望の意志。沙夜は凍りついたように動きを止める。恐怖に、足がすくんでいた。
「や、やめてください……人を呼びますよ……」
「呼んでみろ。ここにはもう誰も残ってやしねえさ」
龍次の瞳には危険な光が宿っていた。相手が何者だろうと恐れない、相手が何者だろうと気に入
らないものは叩き潰す──そんな暴虐の意志が。
──沙夜も気をつけなさいよ。篠原龍次はあたしたちと同じ一年生だけど、三年生も怖くて手が
出せないっていう、最悪の狂犬だから──
ふいに沙夜は、いつか美緒が言っていた警告を思い出した。
「だ、だれか助けて!」
脇目も振らずに逃げ出す。恐ろしかった。ただ……恐ろしかったのだ。
が、金髪の不良少年は彼女を逃がしてはくれなかった。
「おっと」
肩までで切りそろえた綺麗な黒髪をつかまれ、乱暴に引きずり倒される。
「うっ、くっ……」
床に体を打ちつけ、沙夜は痛みにうめいた。すかさず、龍次のがっしりとした体がのしかかって
くる。
「逃がすかよ」
右腕を背中のほうにひねり、ねじ上げられた。激痛が走り、沙夜は悲鳴を上げる。
「うぐっ……!」
「でかい声出すなよ。人が来たら、うざったいだろ」
「た、助けて……助けてください」
沙夜は恐怖に震えながら懇願する。
「別にとって食いやしねぇよ」
龍次は青いブレザーの上から胸を鷲づかみにしてきた。それほど大きくはないが、形よく整った
膨らみを強引につかまれ、無骨な指が布越しに食い込んでくる。
「痛い……!」
あまりにも乱暴な愛撫に沙夜はきつく眉を寄せた。
少女らしい堅さの残る乳房が、龍次の手つきに合わせて、ぐにっ、ぐにっ、と変形する。沙夜の
バストサイズはCカップ。巨乳の友人に比べれば大人しめだが、それでも十分に張りのある美乳だ
った。
「やぁ……っ」
不良少年に繰り返し揉まれているうちに、敏感な先端部が、自分の意志とはかかわりなく尖りは
じめる。
「なんだ、感じてるのか、優等生」
「ち、違います……」
「どいつもこいつも牝豚だな。ちょっと体をいじっただけで欲情しやがって」
龍次は沙夜の両頬を強引に固定すると、無理やりキスをしようとした。
沙夜は必死で体をよじり、抵抗する。男女交際の経験がない沙夜は、もちろん異性とキスをした
経験もない。いつか現れる未来の恋人のためにとってある、大切なファーストキスだった。
「俺に逆らうんじゃねぇ!」
龍次が怒声とともに、沙夜の頬を張った。
「っ……!」
おそらく彼にとっては軽い一撃だったのだろうが、沙夜の顔全体に痺れるような衝撃が走った。
威勢に暴力を振るわれたのは生まれて初めてだったのだ。
ショックに震える沙夜の顔をつかみ、龍次は強引に唇を重ねてきた。
「んぅっ!」
沙夜の瞳が大きく見開かれた。
大事に守ってきた清らかな唇を、とうとう汚されてしまった──心が真っ二つに引き裂かれるよ
うな衝撃だった。
キスは唇が一瞬触れ合う程度の軽いものだった。だが、それだけで沙夜の頬は火を吹きそうなほ
ど熱を持っていた。心臓が、痛いほどの鼓動を刻む。
龍次の唇が離れると、沙夜は口を何度も開き、荒い呼吸を吐き出した。
「はぁぁっ……」
「へっ、その様子だと初めてだったらしいな」
沙夜は呆然とした気持ちのあまり声ひとつ出せない。
「ひどい……私、初めてだったのに……!」
かろうじて抗議の言葉を口にする。が、狂犬と呼ばれる少年は何の罪悪感もない様子でうそぶい
た。
「へっ、そいつはごちそうさまだな。初キスの感想はどうだった? 気持ちよかったか」
「な、なんて人なの……!」
沙夜の体が怒りに震える。
と、ふたたび龍次の唇が重なってきた。今度のキスは激しかった。舌が朱唇を上下に割って、押
し入ってくる。ぬめぬめとした感触が沙夜の歯や口腔内をを舐めまわした。
「んっ、ぐぐぐっ……」
気持ちの悪い感触に吐きそうになる。龍次の舌はそれ自体が意志を持っているかのように、沙夜
の舌を絡めとり、吸いたててくる。さらに、開きっぱなしの口の中へねっとりとした唾液を注ぎ込
まれた。
「んんんんっ、んむっ!」
恋人同士にのみ許された愛情表現であるはずのキスが、こんな男に踏みにじられてしまった……
沙夜にはそれが哀しくてならなかった。
(初めてのキスは大好きな人に──夏目くんに捧げたかったのに……)
きつく閉じたまぶたから涙がにじみ出た。
だが……沙夜の絶望はまだ終わらない。
「さーて、いよいよ、本番と行くか」
ようやく暴虐なキスを終えると、龍次が沙夜の体にのしかかってきた。
「い、いや、そんな……!」
沙夜は瞳を見開いた。可憐な顔が恐怖で凍りつく。不良少年は、キスを奪うくらいでは満足して
いない。乙女のすべてを蹂躙するつもりなのだ。
「離してっ……!」
『男』の欲望を察知して、沙夜は必死で抵抗する。死に物狂いで手足をばたつかせた。
だが少年の腕は万力のように強靭に、可憐な少女を押さえつけている。いくら抵抗しても、ビク
ともしない。
沙夜は絶望的な気持ちで頭上を見上げた。少年の両眼が欲情に輝いている。
「本番はこれからだからな」
龍次は沙夜の腕を背中側にねじりあげた。容赦のない暴力に沙夜は苦痛の呻きをもらした。
「い、痛い……です」
「ガマンしろ、すぐに終わるからよ」
龍次は胸元を飾るオレンジのリボンを外すと、沙夜の両腕を手際よく縛り上げた。両腕に力を込
めるが、まるで自由が利かない。
「動けないだろ。縛るってのもこれはこれでテクニックがいるからよ」
龍次が勝ち誇ったようにニヤリと笑った。
龍次は黒いショートスカートをめくりあげた。ショーツを引きちぎるようにして脱がすと、乙女
の秘所が明らかになった。
年頃になってからは、親にも見せたことのない秘密の場所。それが下卑た少年の前であらわにさ
れている。
「これが優等生のオマ○コか。意外に毛深いんだな」
「い、嫌ァ、見ないでください……」
あまりの羞恥心に沙夜は泣き出した。
龍次はおもむろに、沙夜の股間に顔を埋めた。黒々とした茂みをかきわけるようにして、処女の
粘膜に舌を突き入れる。ぴちゃぴちゃと何度も舐め上げられるうちに、甘酸っぱい匂いがあたりに
漂い始めた。
(やだ、なに……気持ちいい……)
生まれて初めてのクンニリングスに沙夜の顔が紅潮する。内気な少女はいつしか大胆な喘ぎ声を
あげていた。
「あっ、ああっ、あああぁぁぁぁぁっ!」
下半身全体に電流のような痺れが走る。股間の奥が心地よく疼いている。
「あ……はっ……あぁぁ……」
沙夜は荒い息をついて両肩を上下させた。
「へっ、軽くイッちまったのかよ」
龍次は立ち上がると、ズボンの中からいきりたったモノを取り出す。
(ひっ……あれが、男の人の……?)
生まれて初めて間近で見た男性器はとてもグロテスクに見えた。
龍次は大喜びで彼女の服を剥ぎとり始めた。
沙夜は絶望的な気持ちのまま、抵抗もできない。あっというまに全裸にされてしまった。乳房は
小ぶりで、腰もそれほどくびれていない。成熟した女体、というわけではないが、逆にそれがまだ
どんな男にも触れさせていない処女性を感じさせた。
「それじゃ記念すべきロストバージンといくか」
「嫌あ! それだけはやめてくださいっ」
沙夜は処女を守ろうと必死で抵抗する。ジタバタする美少女を力づくで押さえ付け、男は薄赤色
の肉のくぼみに男根の切っ先をねじこんだ。
「あっ、駄目! ゆるしてえっ!」
生まれて初めて味わう、鋭い刺激だった。汚らしい肉の楔が、まだどんな男の侵入も許していな
い膣にジリジリと潜りこんでいく。みち、と体の奥にある膜が乱暴に突き破られた。男の分身が根
元まで彼女の肉孔に埋め込まれたのだ。
「あっ、あああああっ、駄目ェ!」
とうとう無垢な体の中に『男性』を受け入れてしまった。自分はもう処女ではなくなったのだ、
と悟り、沙夜は先ほどファーストキスを奪われたときとは比較にならないほどのショックに打ちひ
しがれた。
「どうだ、ブチこまれた感想は? 乙なもんだろ」
「うう……」
すすり泣く沙夜に向かって、不良少年はニヤリと笑った。罪悪感のかけらも感じさせない清々し
い笑顔だった。
沙夜の細腰を引き寄せると、ゆっくり下半身を動かし始める。ずん、ずん、ずん、と一定のリズ
ムでたくましい男根が胎内を突き上げた。
「あうっ! あっ、痛い……許してください! 動かないでぇ……」
処女を失ったばかりの沙夜にとって、激しく膣をえぐられる性行為は苦痛でしかなかった。まる
でスリコギで体の奥を削がれるような痛み。
「だんだん気持ちよくなるさ。そら、もっと早く動くぜ!」
龍次はそう言って沙夜をきつく抱き締めると、花のような唇を貪った。
「うぐぐぐっ……」
抵抗はしたが、しょせん男の力には抗えない。じきに唇から力を抜き、相手のなすがままになっ
た。唇を上下に割られ、ぬめぬめとした舌が沙夜の口内に侵入した。
龍次はすらりとした女体をがっしりと抱きしめ、がくんがくんと膣を突き上げた。抽送の一差し
一差しが、沙夜の胎内に痛みを刻み込む。
「さすがにキツキツだな。やっぱり処女だけのことはあるぜ!」
龍次が感激したように叫んだ。
「それにしても口数が少ねえな。せっかくだから楽しもうぜ」
「…………」
「遠慮せずに叫んでもいいんだぜ。気持ちいい、イキそうだってよ」
「…………」
沙夜は相手の言葉に答える余裕もない。きつく唇をかみ締め、暴虐なセックスに耐えるだけで精
一杯だった。
「立てよ」
龍次はいったん肉棒を抜き取ると、沙夜を無理やり立ち上がらせた。窓際まで連れていき、ガラ
スに体を押し付ける。窓ガラスに乳房が押しつぶされ、淫靡に変形した。
「もう……許して!」
「駄目だ。徹底的に犯し抜いてやるからよ」
龍次は鮮血のにじむ秘孔に、背後から肉の凶器をあてがった。ぐいっ、と一突きで根元まで押し
込んでくる。
「ああっ!」
処女を貫かれたときほどではないが、それでもすさまじい痛みが下半身を走り抜けた。ぐちゅ、
ぐちゅ、と淫らな音を奏でながら、立ちバックの態勢で龍次が腰をたたきつける。激しい勢いで窓
ガラス全体がぎしぎしと揺れた。
ショックで薄らぐ意識の中、沙夜はぼんやりと窓の外の景色を見下ろしていた。
「おっ、俺も出る!」
龍次は荒々しく腰をたたきつけると、ぐいっ、と硬いものを最深部まで侵入させた。沙夜の細腰
をつかみ、体を激しく揺する。
その直後、
「あああああああああっ!」
沙夜はおとなしげな顔を歪めて絶叫した。
「あ、熱い──!」
どくっ、どくっ、と大量の精液が沙夜の身体の奥に射出される。膣内から内臓まで灼かれるよう
な異様な感触。沙夜はうっと呻くと、すべての力が抜けて窓ガラスに上体を押し付けた。
「はあ、はあ……」
「中に……出したからな」
背後から龍次の荒い息遣いが聞こえる。
「終わったんですか……?」
沙夜はなかば放心状態で、口の端から涎を垂らしていた。
犯されたショックも、処女を失った悲しみも、心の中から何もかもが吹き飛んでいた。
ただ、凌辱から開放されたことにホッとしていた。
「なかなかよかったぜ。やっぱオンナは初物にかぎるな」
龍次が満足そうな顔で萎えたペニスを引き抜き、ゆっくりと体を離す。
今まで繋がっていた部分からドロリと白い液体が溢れてきた。白濁した体液は一つの流れになり、
糸を引きながら大腿のあたりを伝い落ちていく。
自分が犯された証を目の当たりにし、沙夜の瞳から涙が一筋こぼれ落ちた。
龍次が彼女の下腹部に手を伸ばす。まだ鈍い痛みが残るそこを、二本の指でぐいっ押し開いた。
彼の放った精液と破瓜の血が混じった、ピンク色の液体がぐちゃり、といった感じで垂れ落ちて
きた。

 

 

学校を出ると、すでに日が沈みかけていた。夏の夕日がいやにまぶしい。やっとのことで龍次か
ら解放された天道沙夜(てんどう・さや)は、虚ろな表情で帰宅路を歩く。
「ああ……」
もう何度目か分からないため息が、桜色の唇から漏れる。肩のところで切りそろえた漆黒の髪が、
哀しげに揺れた。清楚な容貌の美少女は、両頬に赤い涙の跡が残っていた。
青いブレザーにオレンジのリボン、黒いショートスカートという組み合わせの制服は、ところど
ころにシワが寄っている。
あの忌まわしいレイプの痕跡だった。
(どうして、こんなことに)
さっき男の侵入を許した膣孔がジン、と痛んだ。まだそこに男の体が入っているような異物感が
残っている。その感触が気持ち悪くて、沙夜は年頃の少女にはあるまじきがに股歩きになってしま
う。
歩くたびに、胎内からツーッと何か液体が流れ出る感触があった。あの忌まわしい男に植え付け
られた子種が逆流してきているのだ。
(よりによって、あんな男に……)
放課後の図書室で、沙夜は突然クラスメートの少年に襲われた。不良として校内も悪名が高い、
篠原龍次(しのはら・りゅうじ)。
無人の図書室では助けを求めても無駄だった。乱暴に押し倒され、力ずくで犯された。清らかだ
った膣を貫かれ、汚らしい精液を無垢な胎内に注ぎ込まれた。男女交際の経験すらなかった沙夜に
とって、セックスは生まれて初めての体験だった。
いつか一番大切な人に捧げたい──乙女らしい夢に彩られた初体験は、忌まわしい記憶に変えら
れてしまったのだ。いまだに、自分の身に起きた出来事が信じられなかった。悪夢だと思って早く
忘れてしまいたい。
どこをどう歩いたかも覚えていないが、やがて沙夜は自宅に帰りついた。
「……ただいま」
「あら、お帰りなさい、沙夜ちゃん──って、どうしたのその顔!?」
憔悴しきった沙夜を見て、母親が驚きの声を上げた。
「ちょっと……転んじゃって」
沙夜は力なく答える。説明する気力もなかったし、自分が何をされたのかを言う気になれなかっ
た。同級生にレイプされた、などと言えるはずがない。
「転んだって……でも」
「シャワー浴びてくるね」
沙夜はそれ以上会話をするのも辛く、母親から逃げるようにして風呂場に向かった。
脱衣所に入ると、乱暴に扱われたため、あちこちにシワが残っている制服を脱ぎ捨てる。一糸ま
とわぬオールヌードになって、風呂場の鏡の前で自分の姿を直視した。
泣きはらしたため、赤く腫れ上がったまぶた。青白い顔色。頬には薄く血がにじんだ跡がある。
そして──犯された痕跡がありありと残る、白い裸身。下腹部にはいくつものキスマークが刻まれ、
乾いた血の跡が太ももに薄く残っている。
「私……汚れちゃったんだ……」
沙夜はぽつりとつぶやいた。
夢だと思いたかった。悪い夢を見ただけなのだ、と。
こんなことが現実に起きるはずがない。
自分はまだ清らかな処女なのだ、と。そう思いたかった。
だが股間に残る、疼きにも似た痛みが現実を伝えている。
処女を奪われてしまった……あの狂犬のような男に。
もう清らかな体には戻れないのだと思うと、たまらなく切なかった。
沙夜は風呂場に飛び込むと、蛇口をひねって熱い湯を浴びた。
汚された体を清めるために。
いつまでも、浴びていた。

翌日。公立更科(さらしな)高校。
一時間目の授業が始まったばかりで人けのない校舎裏を、龍次は悠然と歩いていた。口元にくわ
えたタバコから美味そうに紫煙を吐き出す。
龍次は百八十センチを越える長身。喧嘩の強さなら、県内ではもっとも喧嘩に強い不良生徒に与
えられる称号──『三巨頭』の一人に数えられている。もっとも彼自身は三巨頭という呼び名は嫌
いだ。他の二人など問題ではない。強さなら自分がナンバーワンだと彼は確信していた。
と、前方から数人の集団が歩いてきた。彼らも龍次と同じサボり組のようだ。
「おう、肩がぶつかったぜ」
いかにも不良然とした数人の少年が因縁を吹っかけてくる。
「ナメてんじゃねーぞ」
リーダー格の号令とともに、少年たちが四方から襲い掛かる。少しずつタイミングをずらし、攻
撃を避けにくくしている。なかなかの連携だった。
「温い」
龍次がつぶやいた。力強く踏みしめた大地が、震動する。丹田に力を集中し、両腕を無造作に突
き出す。
「なに……!?」
龍次をとらえるはずの拳があっさりと受け止められ、弾かれた。少年たちは成す術もなく吹き飛
ばされ、地面にたたきつけられる。
倒れた少年たちを蹴り飛ばすと、龍次はただ一人無事なリーダー格へと歩み寄る。
「どうする? 残ったのはお前だけだぜ」
「て、てめえ……」
まさか一瞬で手下が全滅するとは思わなかったのだろう。相手の顔は真っ青だった。
「まだやるか?」
「わ、わかった……あんた強えよ」
「かんべんしてくれ……」
地面に倒れ伏した不良たちが懇願する。
龍次はなおも拳を振り上げた。
「退屈な連中だ。本気で喧嘩もできねえのかよ」
拳や振り下ろし、足を蹴り下ろすたびに、血がしぶく。
「俺に喧嘩を吹っかけるなら、殺す気でかかってこいよ。つまらねえ奴らだ」
そのとき龍次の脳裏に浮かんだのは、おとなしげな美少女だった。
「天道……沙夜、か」
なぜか彼女の姿を思い浮かべると心が高鳴る。
「あたしとの約束、守ってくれたのね」
甲高い足音が近づいてきた。
振り返ると、百七十センチを越える長身の少女が立っている。
「東堂院」
凛とした表情の、美しい少女だった。ポニーテールにした栗色の髪の毛がさっそうとなびく。モ
デルのようにすらりとした四肢は伸び切ってしなやかだった。
「約束……ね。ま、あの優等生なら図書室で犯してやったさ。血が出てたし、初めてだったんだろ
うな。へっ、可愛そうに」
「ふふ、天道沙夜は汚された。このことを知れば、夏目くんも彼女には見向きもしなくなるでしょ
うね」
美少女──東堂院楓(とうどういん・かえで)の口元に笑みが浮かぶ。
(……クラスメートを俺にレイプするように依頼しておいて、顔色ひとつ変えやしねぇ。怖い女だ)
龍次も、彼女には一目置いていた。
目的のためにはどれだけでも非道になれる女だ。
「でも、まだ足りないわ。もっともっと徹底的に汚し抜いてもらわないとね」
「わかってるさ。みっちり調教して、俺専用の肉便器にしてやる」
龍次がうなずいた。それからねっとりとした視線を彼女の体に走らせる。青いブレザーに包まれ
た肢体は全体的にスレンダーだ。胸の膨らみはなだらかで、同年代の少女と比べてもバストは小さ
なほうだろう。が、だからといって彼女の魅力が損なわれるわけではない。
「なんなら、お前も──」
ものも言わずに、彼女に飛び掛る。あわよくば、この美少女も犯してやろうとばかりに。
瞬間、目の前をすさまじい風圧が横切った。
「あたしを──なに?」
龍次の目の前に黒い靴のつま先があった。
文字通り目にも留まらぬ速さで回し蹴りを放った楓が、ふん、と鼻を鳴らす。女子空手部のエー
スだけあって、さすがに鋭い蹴りだ。もう一歩踏み込んでいたら、龍次といえどKOされていたか
もしれない。
うかつには、手が出せない女だ。
「ちっ」
小さく舌打ちして、龍次は背を向けた。

沙夜は、最上階の踊り場に呼び出されていた。
「へっ、授業をサボるなんて初めてじゃねえのか、優等生」
龍次が揶揄するが、彼女は無言だ。こうやって向かい合うと、彼の放つプレッシャーに押しつぶ
されてしまいそうだった。蛇ににらまれた蛙の気持ちがよく分かる。
「お願いです、もう帰して……授業が……」
「ちょっとくらいサボったって、どうってことはねえだろ。お前は学年トップの成績なんだからよ」
「そういう問題じゃ……」
今は三時間目の授業中だった。二時間目が終わった後の休み時間中に、龍次から次の授業を抜け
出してこいと命令されていた。先生に気分が悪いから、といって授業を抜け出してきたのだ。嘘を
ついて授業を抜け出すなど、優等生の沙夜にとってはもちろん初めてのことだ。
それもこれも、目の前の不良少年のせいだった。こうして向かい合っていると、あらためて絶望
的な気持ちが込み上げてくる。龍次に、この間のことを全校中に言いまわる、と脅されたのだ。
(私、なんてことをしてるんだろう……)
不良の呼び出しを受けて、授業をサボってしまった。罪悪感が、沙夜の心にどす黒い陰を落とす。
「しゃぶれよ」
「えっ……?」
「鈍い女だな。フェラチオしろって言ってんだよ」
龍次が腰を突き出す。学生ズボンの前はたくましく膨らんでいた。
「フェラ……チオ?」
沙夜の顔が赤らんだ。先日まで純潔な身の上だったとはいえ、フェラチオという言葉の意味くら
いは知っている。男性器を女性が口で愛撫する性技……
「そ、そんなこと……私、できません」
肩まで切りそろえた髪の毛を弱々しく揺らし、沙夜は涙を流した。
「やれって言ってんだよ。この間のことを言いふらしてやろうか」
「!」
「清純派の美少女優等生は、とっくに男を知ってました。好きでもなんでもない男の前で股を開い
て、アンアン喘ぐヤリマンでしたってな。
ははは、明日からクラスメートがお前を見る目も変わるな」
「ひどい……そんなこと……」
「だからフェラチオすりゃ黙っててやるよ」
龍次がジッパーをおろす。
そこから勢いよく飛び出したものは、先日自分の処女を奪った憎むべき凶器だった。こうして間
近で見ると、あらためてグロテスクだと思う。
「……で、でも、こんな場所で?」
「まだ授業中だろ。誰も通りゃしないって」
確かに今は授業時間のため、踊り場は無人だ。だが後数分もすれば授業が終わり、たくさんの生
徒が来るはずだった。その前に、男を発射させなければならない。
沙夜はその場にひざまずき、ドクドクと脈打つものに顔を近づけた。すえたような異臭がして、
思わず顔を背ける。
(なに、これ? ひどい匂いだわ……)
「もたもたしていたら授業が終わっちまうぜ。いいのかよ」
龍次が口の端を吊り上げた。沙夜ははっと表情をこわばらせる。
こんな場面を知り合いに見られるわけにはいかない。絶対に見られたくない。
沙夜はきつく目をつぶり、肉棒にむしゃぶりついた。
「下手くそが! もっと気合入れてしゃぶりやがれ」
「い……たい! 髪の毛をつかまないでください……」
「うるせえ!」
「痛い……です」
沙夜は髪の毛をつかまれ、強引なイラマチオを受ける。
「んんっ……ううううっ……んむっ!」
カリを舌でひっかけるようにする。鈴口をストローのように吸い込み、茎の部分を唇でこする。
龍次の言うままに、沙夜は必死で口唇愛撫を続けた。
(私、すごくエッチな女になってる……)
自分自身を憂う気持ちが胸の奥にこみ上げる。数日前までは考えもしなかった行為だった。授業
を抜け出し、恋人でもなんでもない少年の性器を口でしゃぶるなど──なぜか、じゅん、と股間の
奥が潤んでくる。沙夜はおとなしげな容貌を歪め、必死に龍次のペニスを頬張った。
と、そのとき──
無情にも終業を告げるチャイムが鳴った。あと数十秒で生徒がここに来てしまう。
「へへ、そろそろタイムリミットだな」
龍次ははあ、はあ、と喘ぎながら、口の端に笑みを浮かべる。
(お願い……もうイッて!)
沙夜は祈るような気持ちで男の性器をしゃぶり続けた。下から階段を駆け上がる足音が聞こえて
くる。あと二、三十秒もすれば、ここまで人が来るだろう。
(もう駄目……!)
沙夜が絶望した瞬間、
「ううっ」
頭上で龍次が小さくうめいた。同時に、口の中に信じられないほど苦い感触が広がっていく。
タイムリミット寸前で龍次が射精したのだ。粘度の高い体液が喉の奥に張り付く。あまりの匂い
にむせかえる。
「ぐっ……うくっ……」
「おらっ、全部飲めよ」
不良少年に命令されて、沙夜は涙ながらに汚らしい精液を飲み込んだ。
「はあ、はあ、はあ……」
荒い呼吸をついて、その場に這いつくばる。
「ふう、間一髪だったな」
龍次が満足そうにペニスをズボンにしまったとき、生徒たちが踊り場にやってきた。床に這いつ
くばっている沙夜を、何人かの生徒が不審そうに見ている。
沙夜は慌てて立ち上がり口元をぬぐった。
「口の中がザーメン臭いぜ」
「そ、そんな……」
揶揄するような龍次の言葉に沙夜の顔色が変わった。あわてて給水機が設置されている場所まで
走っていく。
何度も何度も口をゆすいだ。汚された口の中を消毒するように。
(えっ……?)
ふいに沙夜は、自分が濡れていることに気づく。股間の辺りが熱い。足を動かすと、ぐちょっ、
とかすかに湿った音がした。分泌された愛液でショーツが濡れているのが分かる。
「やだ、どうして──」
沙夜は頬を赤くした。不良少年からあれだけサディスティックな扱いを受けたというのに、興奮
などするはずがない。わけが分からなかった。
「無理やりエッチなことされたのに……」
どうしていやらしい気分になっているのだろう。
「へっ、お前、マゾっ気があるんじゃねえのか」
いつのまにか、龍次が背後に立っている。
「俺のをしゃぶらされながら、こっそり感じてただろ」
まるで自分の本性を見抜いているかのような、ねっとりとした視線。沙夜の体が小刻みに震えた。
「嘘です……私、そんなエッチな女の子じゃありません」
「へっ、オマ○コをぐちょぐちょに濡らしておいて、説得力がないぜ」
「なっ……どうして」
「ん、なんだ、本当に濡れてたのかよ」
龍次が哄笑する。沙夜は真っ赤になってうつむいた。
「認めちまえよ。お前の本性は、ただのインランだってな」
龍次の声は、まるで悪魔のささやきに聞こえた。
「今日の放課後にまた相手してやるからな」

 

昼休みの教室で、天道沙夜(てんどう・さや)は親友の沢木美緒(さわき・みお)と机を並べ、
昼食の弁当を食べていた。
今年のタイガースは投手力が心配だねー、とか、待坂(まつざか)投手はメジャーリーグで通用
するのかなー、などと野球好きの美緒の話が延々と続く。
元々それほど口数の多くない沙夜は、おしゃべり好きの親友に対して聞き役に回ることが多い。
来年のプロ野球界の展望について熱く語る彼女に、ときどき相槌を返すだけだ。
(私、どうしてあんなに興奮してたんだろう)
ともすれば、先ほど龍次にフェラチオさせられたことを思い出してしまう。下腹部にはまだ淫ら
な熱が残っていた。憎い男のペニスを無理やりしゃぶらされながら、沙夜は明らかに感じていたの
だ。
と、
「さっきから上の空だね」
ふと気づくと、美緒が彼女をじっと見ていた。
「えっ……あ、ごめんなさい」
「嫌なことでもあったの、沙夜」
「うん……ちょっと、ね」
沙夜の口からため息が漏れる。いくら親友の美緒でも、レイプされたことを打ち明ける気にはな
れなかった。
「ごめんね、今は誰にも言う気になれなくて──」
友達甲斐のない女だ、と美緒は怒るだろうか?
「無理に聞き出すつもりはないよ。なんでもかんでも打ち明けるのが友達ってことはないでしょ」
美緒はにっこりと笑みを浮かべた。一転の曇りもない、明るい笑顔。綺麗な亜麻色をしたセミロ
ングの髪がぱさり、と揺れる。
「いつか話せるときがきたら──あたしでよかったら、いくらでも聞くから」
「……ありがとう、美緒ちゃん」
「で、彼とはどうなのよ」
「ん?」
「とぼけないでよ、夏目くんのこと」
美緒がにやりと笑う。
「い、いいいいいい嫌だな、私は別に、彼とは、その……なんでも……」
沙夜は頬に血が上るのを自覚しながら、あわてて弁明した。
「ホントにわかりやすいよねー、沙夜って。そんなに好きなら告白しちゃえば?」
「だから、私は別に……」
「彼、けっこうモテるしね。グズグズしてたら、他の女に取られちゃうよ。それでもいいの、沙夜?」
辛らつな口調になった美緒に、沙夜は黙り込んでしまう。
「なに? 僕の話?」
「ひ、ひゃうっ!?」
沙夜は思わず素っ頓狂な声を上げた。
背後に立っていたのは、爽やかな美少年──沙夜の憧れの人、夏目涼(なつめ・りょう)。
「な、ななななな夏目くん……」
「ちょうど、あなたの噂話をしてたのよ」
「ちょっと、美緒ちゃん」
「いいじゃない」
親友は明るい笑顔でにっこりと沙夜を制した。
「ほら、彼と話すチャンスだよ」
「で、でも……」
正直、何を話せばいいのかわからない。彼と話したくて話したくてたまらないのに、いざ面と向
かい合うと話題がまるで思い浮かばない。

本日はお日柄もよく──って、こんな話題、学生らしくないよね。
その服、センスいいね──って、学生服だし。
夏目くんの趣味ってなに──って、唐突かな。

いくつもの話題を脳内でピックアップするが、ろくなアイデアが出てこない。
「え、えっと……」
「ねえ、夏目くん。今日、時間あるかな」
沙夜が勇気を振り絞って話しかけようとしたとき、その言葉をさえぎったのは、一人の少女の出
現だった。
「大会も近いし、居残り特訓に付き合ってほしいんだけど」
彼女──東堂院楓(とうどういん・かえで)は、沙夜と涼の間に体を割り込ませるようにして言
った。楓は大財閥である東堂院家の一人娘で、典型的な《お嬢様》だった。涼とは同じ空手部に所
属している。
「女子には、あたしの相手になるような人がいなくって」
ちらり、と沙夜に視線を走らせる。それは恋敵に向ける、明確な敵意だった。
(この人も夏目くんのことを……)
沙夜はハッと息を飲む。
凛として美しい少女だった。長身に、ポニーテールにした栗色の髪の毛がさっそうとなびいてい
る。モデルのようにすらりとした四肢は伸び切ってしなやかだ。
「確かに、女子空手部は君一人がずば抜けて強いしね」
楓と涼の会話は部活動の話題に移り、沙夜は入っていけなくなった。楓の笑顔が、まるで彼女に
対して勝ち誇っているように見える。
彼はあたしの物。あなたなんてお呼びじゃないのよ──と。
「最近、コギャル化してる奴が多いでしょ。援交してる部員がけっこういるし。あたしはもちろん
清らかな処女だけどね」
楓が大胆な言葉を吐いた。
「いちおう硬派だから、あたし」
清らかな処女──
その言葉に沙夜は大きなショックを受けた。
(私はもう……処女じゃない)
空手部同士の涼と楓が二人そろって去っていくと、沙夜は深々とため息をついた。せっかく彼と
話すチャンスだったのに、結局ロクな会話もできなかった。自己嫌悪を感じてしまう。

午後、最後の授業は体育だった。プールには、更科高校で指定された紺色のスクール水着を着た
沙夜や美緒の姿がある。
沙夜のスレンダーな肢体を濃紺の水着が覆っている。全体的に細身の体つきだが、そんな中でC
カップの双丘が胸元でしっかりと自己主張をしていた。
一方の美緒は高校生離れした豊かな乳房の持ち主だ。ツンと張り出したバストによって紺色の生
地ははちきれんばかりに引き伸ばされている。むっちりとした体つきは成熟した女の色気を感じさ
せた。
「なーんか、男子がいやらしい目でこっち見てるよね」
美緒は、フェンスの向こう側に向かって顔をしかめた。
「沙夜、スタイルいいもんね」
「やだ、やめてよ美緒ちゃん。だいたいスタイルのこと言うなら、美緒ちゃんのほうが胸とか大き
いし……」
「ん、まあね。最近、また大きくなってさ。Eカップでもきついくらい」
「はあ、Eカップね……」
しかもまだ成長中とは。Cカップの沙夜からすれば、凄いの一言しか出てこない。
「でも、沙夜はスレンダーなくせに、出るところはきっちり出てるからね。こーいうのに男は弱い、
ってカレが言ってたよ」
カレ、とは美緒が付き合っている野球部の西浦のことだろう。
「だから沙夜なんか、そのままずばり男たちの好みストライクゾーンど真ん中、って感じじゃな
い。きっと、あいつらの今晩のオカズに……うふふ」
「や、やめてってば。いやらしいよ、美緒ちゃん……」
意味深に笑う友人に、沙夜は顔を真っ赤にして抗弁した。オカズ、という言葉から先ほどのフェ
ラチオを思い出す。唇で受け止めたペニスの熱い感触。口の中に広がる、苦い精液の匂い。
(やだ、私ったら……)
龍次に施した口唇愛撫を思い出しているうちに、しっとりと股間が濡れてくる。
──と、
「沙夜ってスレンダーな割には胸あるよね」
いきなり背後から乳房をもまれた。美緒が嬉しそうに沙夜の双丘を揺すっている。形のよい乳房
がゴムまりのような弾力を発揮し、美緒の両手の中でぐにぐにと淫靡に変形する。
「や、やややややめてよ」
「あれ、感じてるでしょ? 沙夜って胸が弱点なのか。なるほどなるほど」
耳元でささやく美緒。沙夜ははあ、はあ、と荒い息を吐き出し、首を左右に振る。
「お願い、やめて……」
「何やってるの、あなたたち」
楓がきつい目つきで二人を見た。
「おっぱい揉んだりして……気持ち悪い。レズなんじゃないの?」
「レズとはなによ。失礼ね」
ムッとした顔で美緒が言い返した。
「あら、やる気?」
楓の瞳に鋭い光が灯る。彼女は女子空手部のエースだ。まともに喧嘩をすれば、ただではすまな
いだろう。
「美緒ちゃん、やめなよ」
「胸がないから嫉妬してるんでしょ」
美緒は一歩も引かなかった。いつもは明るく気さくな少女だが、気の強さなら楓にも引けはとら
ない。
「っていうか、もしかしてあたしの愛撫を味わいたい? それそれ」
「き、きゃあぁぁぁぁぁっ!」
楓が勝気な顔に似合わず、可愛らしい悲鳴を上げた。
一触即発だった空気が、あっという間に和やかになる。
親友の、こういったところが沙夜はたまらなく好きだった。
喧嘩を吹っかけた相手でさえ、こうやって冗談めかして、いつのまにか和やかな雰囲気にしてし
まう。
授業が終わり、クラスの女子が次々と更衣室へ引き上げていく。
「あれ、沙夜、教室に戻らないの?」
「あ、私、ちょっと……後から行くから」
「そう? じゃあ、先に行ってるね」
去っていく美緒を、沙夜は虚ろな瞳で見送っていた。
戻らないのではない。戻れないのだ。

──今日の放課後にまた相手をしてやるからな。

龍次の言葉が脳裏によみがえる。
やがて女子全員が去った後、龍次が現れた。
「よう、待たせたな」
(誰もあなたを待ってなんかいない)
沙夜は悲痛な気持ちでうつむく。
「随分不満そうじゃねーか。初めての男に対して、よ」
「っ……!」
初めての男、という言葉に、沙夜は思わず顔を上げる。龍次が彼女の顔を両手でつかまえ、乱暴
に唇を重ねてきた。
「んっ……!」
憎い男との口づけは、なぜか甘美な味がした。ざらざらとした舌が押し入ってくると、たちまち
彼女の舌が絡め取られる。相手の口内に巻き込まれ、さらに唾液を飲まされる。
「んぐ……ぐぐ……」
汚らしい唾液をあまさず飲み込まされて、沙夜は小鼻をふくらませて喘いだ。
ディープキスを続けたまま龍次の手が胸に伸びてくる。スクール水着の布地越しに乙女の膨らみ
を撫でさすり始めた。
「なんだ、胸が弱点なのかよ」
龍次が口の端を歪めた。
「この間まで処女だったくせに、とんだインランだな。しっかり感じてやがるぜ」
「い、嫌……違います」
「なにが違うんだよ。乳首立たせやがって」
水を吸って重くなっている布越しに、男の愛撫を感じる。若々しい弾力にあふれた乳房を撫で回
された。
「はぁぁっ……!」
乱暴な不良少年に繊細なタッチで胸をいじられ、沙夜は熱い喘ぎ声を漏らす。すっかり尖ってし
まった乳首をスクール水着の布越しにコリコリとつままれる。乳房の快感に連動して、じわり、と
股間の奥が潤みだした。
龍次は沙夜の体を硬いコンクリートの床に横たえた。
いよいよ彼女を犯すつもりなのだ。
「も、もし誰かが来たら──」
可憐な少女の顔が不安に引きつる。優等生として通っている自分が、プールサイドで不良とセッ
クスしていた、などということが知れれば、たちまち学校中の人間の噂になるだろう。
──そうなれば、もはやこの高校にはいられない。
龍次は悪魔のような笑みを浮かべた。楽しくてたまらない、といった様子で沙夜に語りかける。
「人に見られながら、ってのも乙なモンだろ。お前だって案外そのほうが興奮するんじゃねーの
か?」
「そんな、私は──」
人に恥ずかしい場面を見られて悦ぶような変態じゃない。
「無理するなよ。もっと自分に正直になればいいんだ。俺は楽しいぜ。少なくとも、お前とこうし
ている瞬間だけは退屈を忘れられるからな」
「んっ」
沙夜は龍次に顎をつかまれ、乱暴にキスを奪われた。タバコ臭い味が美少女の口内に侵入した。
とろり、とした肉塊を含んでいる甘美な感触に、沙夜は恍惚となる。
一瞬、まぶたの奥に涼の顔が浮かんだ。
(ごめんね、夏目くん……)
憧れの少年に、心の中で謝罪する。
好きでもない男と愛情の証である口づけを交わしながら、自分は興奮を覚えている。乙女の最奥
から、後から後から淫らな樹液があふれてくる。
「キスだけでこんなに濡れてるなら、もう入れてもいいだろ」
龍次が唇を離し、沙夜の股間に手をやった。指先が秘孔に侵入し、ぐちゅり、と淫らな音を鳴ら
す。水着が濡れているせいだけではない。その部分を濡らしているのは、彼女自身が分泌した体液
のせいだった。
水着のクロッチ部分をずらされ、むき出しになった秘処に硬くなったものが宛がわれる。
いよいよ、アレが入ってくるのね──
沙夜は本能的に身を硬くする。
「くっ」
ほっそりとした腰を引き寄せ、龍次が腰を前進させた。ぬぷっ、と湿った感触とともに、たくま
しい肉茎が押し入ってくる。
「ひぐっ……あっ、あぁっ!」
処女を奪われたとき以来、二度目の挿入だった。激しい侵入を受けて、スクール水着に包まれた
白い肢体が仰け反る。
初体験の、あの身を裂かれるような痛みに比べて、今回はそれほど苦しくない。膣孔を限界まで
左右に押し開かれている圧迫感はあるが、それも決して不快なものではなかった。むしろ圧倒的な
充足感さえ覚える。
(入ってる……熱くて、太いものが。私の中いっぱいに……!)
胎内が《雄》でいっぱいに満たされていることへの、満足感。これが《牝》としての本能なのだ
ろうか。
龍次は根元まで押し込むと、下腹部を性急に揺すり始めた。膣内の粘膜を強い摩擦感が駆け抜け
ていく。ペニスで貫かれるたびに軽い愉悦が走る。
(これが……本当のセックスなの?)
ほとんど苦痛だけだった初体験のときと違い、今回は男の感触を味わう余裕があった。
「てめえも腰を振れ。サボッてんじゃねえぞ」
「は、はい」
互いに腰を打ち振り、激しく唇を吸い合い、全身をリズミカルに揺すっているうちに沙夜はすっ
かり汗まみれになった。まるでスポーツで全力疾走をした後のようだ。
龍次は態勢を入れ替え、バックから突き込んできた。征服した尻をかかえ、しだいに腰をスピー
ドアップさせていく。沙夜は体の芯が高ぶるのを感じた。膣の内部が柔らかく蕩け、突かれるたび
に、ジン、ジン、と妖しく疼いてくる。
(この感覚は──いったい、なんなの?)
十六年間、清楚に生きてきた少女は戸惑いを隠せない。こんな感覚を今までに味わったことがな
い。
(すごく気持ちよくなっていく……私、どうなっちゃうの?)
紺色の水着に覆われた背中が激しく波打った。自らも腰を振って、男の突き込みに応える。感極
まって、沙夜の細い喉から喜悦の声が漏れ出した。
「初めての感覚か? これがイクってことだ」
パワフルに体を揺さぶりながら龍次が笑う。
「イ……ク?」
「お前は俺に犯されながら、ビンビンに感じてるってことだ。そらっ、もっと気持ちよくなってき
ただろ」
「わ、私は……」
「イっていいんだぜ、沙夜」
「イ……ク……」
小さくつぶやいてみる。
股間の疼きが、よりいっそう甘く、激しく駆け上がってくる。バックから犯しながら、龍次がス
クール水着を荒々しく脱がせた。お腹の辺りまで水着を外され、美しいお椀の形を描く乳房がぷる
っと露出する。ごつごつとした両手でバスト全体をつかまれ、激しく握りつぶされる。
「あっ、あぁっ、あんっ!」
ボブカットの黒髪を振り乱し、沙夜は切なく喘いだ。背筋から愉悦が這い上がり、感電したよう
に全身が痙攣した。
鋭い火花が全身を突き抜ける。
まぶたの裏で真っ白な光がはじけた。
「あぁぁぁっ、イクっ……はあっ、はあっ……!」
オルガスムスの叫びを上げ、激しく息を切らせる沙夜の耳元で、龍次が突然叫んだ。
「ううっ、俺もイクぜ。濃いのを中で出してやるから、しっかり受け止めろよ」
沙夜は背中に男の体重を感じた。同時に肉棒が膣の奥まで思いっきり押しこまれる。
生まれて初めてのオルガスムスに朦朧となっていた意識が、その一言で覚醒した。
この不良少年は今、なんと言ったのか。
中に出す──妊娠してしまうかもしれないのに。
「はぁあ……! 今日は外に……っ!!」
沙夜は絶叫した。
前回、処女を奪われたときも中出しされたが、あとで勉強したら、あの日は安全日だったらしい。
だが今日は違う。
危険日、なのだ。
「ああぁ……外にお願いしますぅ……っ!」
「中出しのほうが気持ちいいんだから、つべこべ言うな」
「駄目っ……! 駄目です……っ!」
「この間も中に出しただろうが」
「今日はお願い……っ! 危ない日なんです。だから……本当にお願いですからっ!」
「うるせえ、出しちまうぞ。おらっ!」
龍次は腰の動きを止めると、沙夜の膣に熱い牡のエキスを発射した。どく、どく、と勢いのよい
迸りが若い子宮に流し込まれる。
「ああーっ、だめ、赤ちゃんができちゃう……っ!」
強烈な勢いで膣内射精を受けて、沙夜は大きく吐息を漏らした。観念したように目を閉じ、床に
横になる。中出しまでされて、本気でイッてしまった。
好きでもない男に二度も体を奪われてしまった空虚さに加えて、自分を台無しにしたという後悔。
「ふーっ、中出ししてやった。気持ちよかったぞ、沙夜」
龍次がぶるぶると腰を揺すって、肉棒を引き抜く。先ほどまで閉じきっていた肉唇はぽっかりと
口を開き、白いものが垂れ落ちていた。
「私のおなかの中に精液が……こんなにたくさん……! 避妊してないのに……危険日なのに…
…」
「きっと今ごろはてめえの腹ン中で受胎してるぜ。もしガキができてたら人生がメチャクチャにな
っちまうな、優等生」
避妊せずに彼女の膣に射精した龍次は、満足そうに言い放った。

 

降りしきる雨の中を、黒髪の少女が歩いている。傘もささない無防備な肢体を冷たい水滴が容赦
なく濡らしていく。
天道沙夜(てんどう・さや)は、そっとスカートの前に手をやった。龍次によってさんざん貫か
れた下腹部が、まだ疼いている。胎内に残る灼熱感が心地よかった。中出しされた精液がぬるり、
と太ももに白い筋を作っている。
(好きでもない男の子の前で、あんなこと……)
沙夜にはまだ自分の身に起きたことが信じられない。二度目のレイプを受けたのみならず、初め
ての絶頂まで味わわされてしまった。
レイプされて感じてしまうなんて、まるでエッチな小説に出てくるヒロインのようだ。
「私、もう駄目……」
沙夜は悲痛な思いでつぶやいた。
もう清らかだったころには戻れない──
自分が決定的な一線を踏み越えてしまったような気がして、無性に悲しかった。
と、
「天道さんじゃないか」
雨の中で立っていたのは、空手着姿の少年だった。凛々しい容貌に、沙夜の胸が激しく高鳴る。
「夏目くん──」
クラスメートの夏目涼(なつめ・りょう)が心配そうに彼女を見つめている。
「どうしたの、傘もささないで?」
「私……私……」
沙夜の声が激情でかすれた。
一瞬、彼に何もかも打ち明けてしまおうかと思った。あの狂犬のような男に乱暴され、乙女の純
潔を汚されてしまったのだと。
(だけどやっぱり言えない)
ずっと憧れていた──運命の人とさえ思っていた相手。
彼とは高校に入って、初めて出会った。特別な思い出があるわけではない。だが、出会ったとき
から感じていた。
この人と一緒にいると、暖かい気持ちになれる。優しい気持ちになれる。

私は──この人のことが好きなんだ。

素直にそう思えるようになるまで時間はかからなかった。沙夜にとって生まれて初めての恋。そ
んな彼に、自分が汚されてしまったことを知られたくなかった。彼の前では清楚で可愛い少女でい
たかった。
沙夜はなにも言えずに、彼から背を向けた。
「ちょっと、天道さん?」
戸惑ったような彼の声を背中越しに感じながら、降りしきる雨の中、沙夜はひとり走り去る。今
は、彼と話したくなかった。涼を拒絶するように激しく水しぶきを上げて、沙夜は走っていく。
(私はもう、綺麗な体じゃない。私にはもう、彼を好きでいる資格はない)
絶望が、少女の胸を押しつぶしていた。

三日後──
野球部部室の前で三人の男女が対峙していた。
「へえ、これがお前の答えか、美緒」
「あたしはもうこれ以上、あなたの言いなりにはなりたくない」
沢木美緒(さわき・みお)が凛とした表情で言い放つ。
明るい亜麻色の髪をセミロングに伸ばした少女だった。すらりとした健康的な四肢とあいまって、
少年のように中性的で整った美貌。この間処女を奪ってやった天道沙夜とタイプこそ違うが、負け
ず劣らず美しい少女だ。
「だから──」
側に立つ少年に視線をやった。野球部らしい短髪に精悍な顔だち。鍛えられた体は、服の上から
でも鋼のような筋肉に覆われていることが分かる。
「西浦くん、大丈夫だよね? あたしを守ってくれるよね?」
「当たり前だ」
少年──西浦が勢いよく吼える。自信たっぷりといった態度で龍次をにらみつける。
「毎日部活で鍛えている俺が、こんな奴に負けるかよ。必ずお前を自由にしてやるよ、美緒」
ぴったりと寄り添う二人を、篠原龍次(しのはら・りゅうじ)は冷たく見やった。西浦は美緒の
彼氏だ。龍次が美緒を犯したことを知って、落とし前をつけにきた、というところか。
「へっ、そんなにヤリマン女が大事か。美緒は俺とヤるたびに、自分から腰を振るようなインラン
だぜ」
「ひ、ひどい……!」
女としてのプライドを傷つけられたのか、美緒は悔しそうに唇をかみ締めた。
(いい顔してるぜ、美緒)
龍次は心の中で快哉を叫ぶ。
美しいもの、正しいもの、全うな人生を送っているものを──そんな連中を見ると無性に汚した
くなる。いつごろからか、彼は己の性癖に気づいていた。
理不尽な暴力によって、清純な存在を汚してやった瞬間の顔がたまらない。退屈に彩られた彼の
心に、一瞬の躍動を与えてくれる。
「俺の大事な女を傷つけやがって……てめえ、絶対に許さねえからな」
身長百九十センチに迫る長身が前に出た。体格だけなら龍次以上にがっしりとしている。おまけ
に金属バットを右手に握っていた。
(凶器持ちかよ。上等だ)
「美緒は──初めてだったんだぞ」
「ああ、確かに処女だったよな。初めてヤッたときは血まみれだったからな。けど今じゃそれなり
にマ○コがほぐれて、いい具合だぜ」
「てめえ……」
「人の女を開発するってのも、それなりの退屈しのぎになったな」
「てめえぇぇぇぇぇぇっ!」
西浦が獣のような咆哮とともに襲い掛かる。体重を乗せた突進。野球部で鍛えているだけあって
中々のスピードだった。大上段から金属バットがうなりを上げる。手加減なし、問答無用の一撃だ
った。
瞬間、龍次の体が敏捷に舞った。体をひねり、相手の腕に回し蹴りを叩き込む。凶器を弾き飛ば
し、その勢いでさらに追撃。真正面に打ち込んだ右ストレートが西浦のみぞおちにめり込んだ。
うめきながらも、西浦が水平にバットを振るった。硬い衝撃が側頭部を襲う。
「がっ……!」
直撃ではないが、こめかみの辺りが割れて、鮮血が飛び散った。
「てめえ」
龍次の瞳に危険な光が宿る。
「き、効いてないのか……!」
「これくらいで倒れるようじゃ、不良はやってられないんだよ」
虚勢だった。
いくら龍次が桁違いのタフネスを誇るとはいえ、もう一撃受ければさすがに体がもたないだろう。
あと一撃食らえば、確実に龍次の負けだ。
「来いよ、野球部野郎。俺が憎いんだろ」
「くっ……!」
西浦が金属バットを振りかぶる。龍次はその攻撃に自らの体をぶつける覚悟で間合いを詰める。
決死の、突進。
「あああああああ」
龍次は低く吼えて、拳を繰り出した。ふたたび、みぞおちへの一撃。体をくの字に折って、西浦
が膝をつく。
「自分から金属バットに突っ込むなんて……死ぬ気か、てめえ」
「思いっきり頭にバット食らわせておいて、よく言うぜ」
龍次が吐き捨てた。止めとばかりに、腹へ蹴りを打ち込む。
「がっ……!」
二度にわたる腹部への打撃で、西浦は完全に悶絶していた。龍次は彼に冷たい一瞥をくれると、
美緒に向き直る。
「さて、と。俺のことをチクッたからにはお仕置きが必要だ」

「さて、と。俺のことをチクッたからにはお仕置きが必要だ」
ゆっくりと彼女を振り返る不良少年の姿が、美緒にはまるで悪鬼のように映った。
「ひっ、許して……」
美緒は怯えて立ちすくむことしかできない。哀れなほどに。
ただ──恐怖していた。
そこには、太陽のように明るい美少女の面影はなかった。
そこにいたのは、哀れな一匹の獲物──
龍次がにやり、と歯の欠けた口元を歪める。
「駄目だな。腰が抜けるまでぶちこんでやる」
「ひいっ……!」
「オナニーしろよ」
龍次が突然命令した。
「えっ?」
「濡れてもいないところに突っ込まれてぇのか?」
「は、はい……」
美緒は慌ててその場にしゃがみこんだ。
もはや恥も外聞もない。目の前の少年の言うことをきかなければ、殺されてしまうのではないか。
そんな恐怖感が美緒を突き動かしていた。
青いブレザーをまくり、ブラジャーに包まれた乳房を露出させる。黒いショートスカートと下着
もずらして、股間をむき出しにした。
「んっ……」
片手でEカップの豊かな乳房をつかみつつ、もう片方の手を乙女の秘園に這わせる。誰かの目の
前で自慰をするなど、もちろん初めてのことだ。
美緒は明るい美貌を上気させながら、必死でオナニーに励んだ。
「オナニーしながらこう言うんだ。『これからは篠原龍次様の奴隷になります。彼とは一生口も利き
ません』ってな」
「ひ、ひどい……!」
さすがに美緒の手が止まる。
と、その態度が気に食わなかったのか、
「俺を舐めてんのか? 俺を裏切っておいて、タダですむとでも思ってんのかよ」
龍次が歯をむき出しにして怒声を発した。
「てめえは一生、俺の奴隷だ。二度とまともな恋愛なんてさせねぇからな」
「…………!」
龍次が美緒の股間に手を伸ばした。処女を失ったとはいえ、まだ十分に瑞々しい秘唇に、ゴツゴ
ツとした指が潜り込む。
「お、たっぷり濡れてんじゃねえか。じゃあ、ぶちこむぞ」
「お願い、彼の前では──」
美緒の最後の願いもむなしく、龍次のたくましい体がのしかかってきた。
「うるせえな。おら、こんな邪魔なモンとっとと脱げよ!」
黒いショートスカートとその下の青いストライプのショーツを同時にずり下げられた。ひくひく
と蠢く秘唇に、龍次がいきりたったものをあてがう。
「んっ!」
前戯もなく、いきなり押し込んできた。貫かれた衝撃で、ぷりんとした尻肉が激しく揺れる。龍
次は豊かな臀部を抱え込むようにして、腰をたたきつけてきた。
不安定な立位で揺さぶられ、美緒は不良少年に抱きつくような格好を取る。こうしてしっかりと
しがみついていないと立っていられないのだ。
龍次は美緒の顎を上向け、荒々しく唇を重ねた。
「美緒……」
「うぐっ、んんっ」
彼氏の目の前で唇を奪われ、美緒はなぜか陶然となる。暴虐なキスは、背徳の味がした。
龍次はまるで西浦に見せ付けるかのように、激しく腰をグラインドさせる。嫉妬の炎を燃やして、
西浦がものすごい顔で彼女をにらんでいた。
その瞬間、美緒の膣がキュン、と締まった。ひくひくと瑞々しい粘膜がうごめいている。
恋人に見られながら他の男に貫かれているというのに、興奮していた。龍次は腰をローリングさ
せて胎内を激しくかき回しながら、彼女のヒップにも手を回してきた。
「きゃっ、そこは──」
骨太の指がアヌスに差し込まれる。ずぶっ、と熱い感覚が窄まりの中に生まれ、美緒は甲高い悲
鳴を上げた。
「どうだ、気持ちいいか」
「はっ、ああんっ!」
もはや喘ぎ声を抑えきれない。体の隅々にまで走る喜悦で、四肢をぴんと突っ張った。横目で見
ると、西浦が唇をかみ締め、瞳を血走らせている。今まで付き合ってきて一度も見たことのない彼
の表情。鬼の形相だった。
(ごめんね、西浦くん……)
美緒は硬く目を閉じる。
「そんなにアイツが気になるのかよ」
龍次が耳元でささやいた。悪魔のささやきに、ぞくり、と総毛立つ。
「んっ、んんっ、はぁぁっ!」
憎い男、悪い男だと分かっているのに、体はこんなにも感じてしまう。もう取り返しのつかない
ほどに、美緒の肢体はこの男に開発されてしまった。
「捨てちまえよ、あんな奴。これからは俺の女にしてやる」
「そ、そんな……」
「誓えよ、美緒」
「うう……」
美緒は涙交じりにつぶやいた。
常に明るい光をたたえていた瞳が、徐々に虚ろにかすんでいく。龍次が一突きするごとに理性が
薄れていく。
快楽と理性の狭間で、美緒の心は二つに割れそうだった。
「あたしは──」
「ん? 続きはどうした」
「い、言えません……西浦くんを捨てるなんて」
美緒が、最後の抵抗を見せる。
「誓えって言ってんだぜ。彼氏を打ち殺されてえのか?」
「っ……!」
無残に打ち倒された恋人の姿が脳裏をよぎり、彼女の顔が今度こそ恐怖に引きつった。
「あたしはっ……篠原くんの──」
「様、だ。様付けで呼べよ」
「し、篠原龍次様の……奴隷になりますっ! 一生、あなたの肉奴隷として生きていきますぅっ!」
美緒は絶叫した。
「だから、彼には手を出さないでっ!」
「いいだろう。てめえが俺に従ってる限り、これ以上あいつには何もしねえよ」
その言葉に美緒は安堵する。
「おらっ、イかせてやる!」
龍次の抽送が一気に加速した。止めをさすための激しいピストン運動。腰をたたきつけられるた
びに、豊かな双丘が跳ね上がる。勃起した乳首が激しく上下し、ピンク色の軌跡を描く。
「あああっ、イクう!」
美緒は口の端から涎を垂らして絶叫した。真っ白な快感とともに脱力し、ぐったりと龍次にもた
れかかる。
「はぁっ、気持ちイイ……!」
「へっ、彼氏の目の前で思いっきりイキやがって」
ぬるり、と肉棒が引き抜かれる。バランスを崩し、美緒はその場に倒れこんだ。
「ケツをこっちに向けろ」
「えっ……?」
「まさか、これで許してもらえると思ってたんじゃねえだろうな」
龍次が悪鬼のごとき表情で吼える。
「奴隷の分際で俺に逆らった罰だ。ケツの穴まで犯してやるからな」
「ひっ……そんな!」
美緒の顔が真っ青になった。
「助け──」
「逃げんなよ」
背後から下半身を抱え込まれ、頭を床に押し付けられる。
「うぐっ……」
放射状のシワが左右に伸び、その奥の粘膜をのぞきこまれた。排泄のための道筋。他人に見せら
れない不浄の場所。その尻の窄まりに堅い感触がぶつかってきた。
「やめて……お願いだからそれだけは!」
美緒は顔を床に押し付けられながらも必死で叫んだ。
「へっ、痛いのは最初だけだ。すぐに病み付きになるぜ」
「嫌……嫌よ……入るわけないわ」
「そらっ、後ろの処女も奪ってやる!」
ぐいっ、と少女の菊穴を押し開き、熱いものが差し込まれる。
「あぐっ!」
美緒はカッと瞳を見開いた。先ほどの絶頂で括約筋が緩んでいたのか、想像していたよりはスム
ーズな挿入だった。だがそれでも生まれて初めて異物を受けさせられた穴には、異様な圧迫感が生
まれている。
「あ……はぁ、はぁ……」
荒い息を吐き出し、美緒は喘いだ。信じられないほど押し広げられた菊門からは薄く血がにじん
でいる。
「許して……お願い、お腹が苦しいの……」
「はははは、動くぜ!」
龍次は容赦なく動き出した。がつ、がつ、と容赦のない突き込み。生まれて初めてアナルセック
スを経験する美緒にとって、拷問にも等しい責めだった。荒々しく下腹部を揺すられるたびに、美
緒の豊かな乳房がぷるんっ、ぷるんっ、と弾む。
最初のほうこそ痛みしかなかったが、挿入された異物に腸内粘膜がなじんできたのか、少しずつ
アナルをえぐられる感覚にも慣れてくる。性技も何もないストレートな突きを何度も受けて、気持
ちいいのか不快なのかも分からなくなってきた。未知の性感が早くも目覚めつつあった。
(あたし──お尻の穴で感じてる……!)
美緒はその事実に気づき、愕然となる。頭の中が真っ白な快楽で爆発しそうだった。
「あっ、あっ……あぁぁぁぁっ……んっ!」
やがて苦痛の呻き声は甘やかな啜り泣きへと変化する。
「どうだ、俺の奴隷になるか」
「は、はい、なります……あたし、あなたのモノになりますぅ!」
美緒が絶叫した。恋人のことなど、もはや頭の中から消えていた。今の美緒を支配しているのは、
刹那的な愉悦だけだった。龍次がこれほどの快楽を与えてくれるのなら、喜んで奴隷になる。前も、
後ろも、彼のためだけに捧げよう。
そう、心の中で誓う。
「よく言えたな。じゃあ、こっちの穴に出してやるよ」
龍次はぐいっと根元まで押し込むと、体を震わせた。美緒の直腸に熱い精液がたっぷりとほとば
しる。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ、イクうぅぅぅぅぅぅぅっ!」
直後、オルガスムスの痙攣が全身を襲い、美緒は上半身を床の上に突っ伏した。肉棒が引き抜か
れると、ぽっかりと拡張された窄まりから、どろり、と白濁したものが垂れ落ちてきた。