宮内良太はゼリー飲料を口に含み、苦々しく咀嚼した。
欠伸を噛み殺す。
彼の前にはガラステーブルがあり、報告書の束とビデオテープが散乱していた。
『女子高生 ハメ撮り 木坂香苗』
『キャバ嬢 SM 杉村美樹』
テープにはそのように記されたラベルが貼り付けてある。
暴力組織から先日押収した裏ビデオだ。
良太はせっかくの休日に、夜を徹してそれの鑑賞を続けていた。
元々は上司である刑事の受け持ちだったが、嫌がって良太に押し付けたのだ。
ヤクザが撮った本物の裏ビデオ。
始めは好奇心から浮き足立った良太だが、チェックを始めて二日目にして、これの忌避される理由が解った。
まず内容がドぎつい。
本気で嫌がる女を押さえつけての強姦、正気を疑うようなハードなSMが山ほどある。
それを抜きにしても、修正の全くない生々しい男女の結合を延々と眺めていると、
どれほど性に興味があっても吐き気がしてくる。
そもそも、これは裏ビデオのチェックという歴とした“仕事”なのだから、悠長に鑑賞するだけではいけない。
『開始○○分、男性器の挿入を確認』など、内容を逐一報告書に書き留めなければならないのだ。
良太は何十本と続くその作業を黙々とこなした。
こなす他なかった。
単調で、時に信じがたい仕事を、何であれ機械的にこなしてゆく。
それが出来ないようでは公務員など務まらない。
若妻が犯されるビデオを記録し終え、良太はついに最後の山に手をかけた。
あまりにも膨大な数があるため、あえて後回しにしてきたものだ。
『吉崎沙耶香(15) ?@』
最も古びたラベルにはそう記されている。
そのラベルを眺めながら、良太は世間を騒がせたその事件を思い起こした。
県議会議員、吉崎周蔵には昔から敵が多い。
特定県民に害をなす条例を次々と発案し、地域内格差を絶望的なまでに拡げたためだ。
利益を得る富裕層は神と湛える一方、虐げられる層からは深い恨みを買っていた。
そしてついにある時、事件が起こる。
吉崎の横暴を腹に据えかねた集団が、彼の娘を拉致したのだ。
犯行グループは縛り上げた娘・沙耶香の映像をネットに流し、吉崎に退陣を迫る。
しかし吉崎はそれに耳を貸す事はなかった。
噂では、吉崎には幾人もの愛人がおり、それぞれに子供を作らせていた、
ゆえに娘の1人がどうなろうが構わないのだ……とも言われている。
ともかく、吉崎が動じず退くにも退けない犯行グループは、行動を激化させた。
当時15歳の沙耶香を性的に辱め、その裏ビデオを流出させると迫ったのだ。
結果から言えば、一団は警察の捜査の末、5ヵ月後に全員が捕らえられた。
しかし肝心の沙耶香とビデオテープは発見されぬまま、事件は風化し語られる事もなくなっていった。
そのビデオが今回、暴力組織の捜査で事務所より発見されたのだ。
6年前の真実が記録されたビデオ。
映像内の情報から、或いは吉崎沙耶香の足取りも掴めるかもしれない。
良太はまどろむような意識を呼び戻し、生唾を呑んで最初のビデオを再生した。
素人じみた陳腐なタイトル画面の後、ビデオの映像が始まる。
水垢の溜まったキッチン、カビた風呂場、そこに挟まれた縦長のリビング。
昭和の匂いを感じさせる古いアパートだ。
カメラはピント調節ついでに部屋の中を映して回る。
やがてクリアになった映像に、裸の男女が映し出された。
男の顔にはモザイク処理がされ、女だけが顔出しの状態となっている。
女は容姿に優れていた。
いや、女というより“少女”と言うべきか。
手足はジュニアモデルのように細く伸び、あどけなさを残す顔立ちには品がある。
腰までの黒髪が令嬢らしさを際立たせた。
恐らくは彼女が吉崎沙耶香だろう。
名門・得智院中学に通うお嬢様だというのも頷ける話だ。
その少女は、筋肉質な男の足元に跪いていた。
桜色の唇が醜悪な逸物を包んでいる。
口を窄めて唾液を吸い、ちろちろと舌を這わせ。
「おい、もっと深く咥えろ。咥えこんだまま唾液をまぶせ、飲み込むんじゃねぇ」
男は沙耶香の頭を押さえつけながら命じた。
当然ながらその声は機械的な音声に変えられている。
沙耶香は必死に男の言葉に従った。
よく見れば、軽く膝立ちした沙耶香の股からは別の男の手が覗いており、
沙耶香の初々しい性器を丹念にほぐしているようだった。
良太はこめかみを押さえながら、報告書にペンを走らせる。
『強制され男性器を口に含む。同時に性器を指で刺激される』
醜悪なビデオはさらに続いた。
フェラチオに勤しんでいた沙耶香が不意に肩を跳ねさせた。
秘部を弄り回していた男が笑う。
「いやあ、沙耶香ちゃんももう立派なオンナだね。こんなに濡れちゃって」
男が秘部から抜き出した指には、うっすらと粘液が纏いついていた。
「流石の指使いだな、伊達に経験の数こなしてねぇや。
どうだ吉崎のお嬢ちゃん、こいつの指は気持ち良いだろ」
逸物を舐めさせる男が言った。
沙耶香は頬を赤らめる。育ちの良い娘だ、その恥辱は相当なものだろう。
男達はその様子を愉しみながら、やおら沙耶香を押し倒す。
「いやっ!!」
沙耶香は顔を顰めて拒絶の言葉を発する。
男達はモザイク越しにも解る笑みを浮かべた。
「いい子だ。何、そう固くなんな。あっという間に一人前の女にしてやるぜ」
男の身体が沙耶香を覆い、4本の足が絡まりあう。
しばし試行錯誤した後、男がゆっくりと腰を押し沈めた。
「き、ぃいっ……!」
鳥を絞め殺すような声が映像内に響く。破瓜の叫びだろう。
それを示すように、少女の会陰に赤い雫が零れた。
美しい少女は今まさに、その純潔を散らされたのだ。好きでもない男の物で。
沙耶香の手が強くシーツを掴み、強張った足が畳に音を立てる。
それを観ながら、テレビの前の良太もまた握り拳を作った。
心臓が脈打ちすぎて痛むほどだった。
『男性器を挿入、被害者の破瓜を確認』
震える字で報告書に記す。
その後も沙耶香は、数人の男によって休みなく犯され続けた。
処女を奪った男は、正常位からバックスタイルに切り替え、背後から沙耶香を犯す。
細い腰を掴みながら、パンパンパンパン、とリズムよく腰を遣う。
規則正しさもさることながら、かなり深く入っている事が挿入時の密着性から解る。
かなり女を抱き慣れているようだ。
ビデオ映えを意識しているらしい所を見ると、撮影の経験もあるのだろうか。
そんな男が表情も変えずに悠々と清楚な少女を犯している。
その事実に良太はまた憤りを覚えた。
犯す男は余裕だが、初セックスで深々と貫かれる沙耶香は堪ったものではない。
歯を食いしばり、眉根を寄せて苦痛に耐える。
だがそんな彼女の眼前に、もう1人の男が逸物を突き出した。
異常に太い逸物だ、明らかに沙耶香の楚々とした唇には入りきりそうもない。
「舐ってろ」
男が低い声で命じると、沙耶香は薄目を開けて息を呑んだ。
目を疑うような極太なのだから無理もない。
しかしもう一度催促されると、恐る恐る手を伸ばす。
沙耶香は左手を布団について身体を支え、右手で逸物を摘んで舌を這わせる。
品のある舐め方だ。
顔の良さもあり、それは何とも情欲を煽る。
だが男は、じれったいとばかりに沙耶香の頭を押さえつけた。
「フェラチオってのは、こうするんだよ!」
極太を無理矢理に沙耶香の口の中に捻じ込む。
「んんむっ!?」
沙耶香の頬が膨らみ、容の良い鼻が上を向く。
沙耶香は嫌がるように手をバタつかせたが、その手が背後から突く男に掴まれた。
男はそのまま沙耶香の手を後ろへ引き、それを支えに腰を遣う。
一方で前の男も、大きな両手で沙耶香の頭を鷲掴みにし、無理矢理に逸物を喉へねじ入れる。
「うおぉ゛え゛っ!!!!」
当然、沙耶香はえづき上げた。しかし男は嬉々としている。
「おう、こりゃあいい。舌遣いはお上品なクソッたれだが、喉奥は最高だぜ」
男は力強いストロークで沙耶香の喉を犯す。
頭を掴んで、無理矢理に。
それはフェラチオさせているというより、沙耶香の口を『使っている』という表現が相応しいものだった。
「おえ゛っ!!んうおお゛えっ!!えごぉお゛っ!!!!」
沙耶香は薄く開いた目から涙を流し、何度もえづく。
口を限界まで開かなければ受け入れられないほどの剛直だ、当然だろう。
その唇の端からは、唾液らしい透明な液が幾筋も滴っていた。
『へへっ、テメェらコレ、やべぇ絵面になってンぜ?
15のガキの手ェ引っ掴んでマンコ犯しまくって、おまけに喉奥イラマチオ。
ガキにここまでしていいんか?ま、AVとしちゃあ最高だけどよ!』
ビデオを撮っている男だろう、映像の手前側から歓声が上がる。
その後も男達は、様々に体勢を変えながら沙耶香を犯し続けた。
はっきりと解るだけで4回は膣中に射精した頃、ようやく映像が途切れる。
「……まるで悪夢だ……」
良太は顔を押さえ、目頭を揉む。
吐き気さえ覚えた。
しかし、まだまだ数がある。全てを月曜の朝までに見終えなければならない。
良太は報告書の束を捲りつつ、1本目のビデオを取り出す。
次は何が映されているのか、心を掻き乱されながら。
ビデオは5/25から始まり、一日単位で痴態を記録していた。
最初の一週間分は変わり映えのしない内容だった。
犯す面子は毎回多少入れ替わるが、全員が膣を犯し、口を使うだけだ。
変わったものといえば、沙耶香はどのみち抗わないにもかかわらず、あえて手を縛ってレイプじみた撮影を行う者もいた。
また沙耶香のすらりとした足を開かせ、幼さの残る秘唇を延々と舐めしゃぶる男もいた。
しかし特に大きな変化はないまま、ビデオの日付は6月に入る。
映像の冒頭、沙耶香は男達に尻を向けていた。
格好は得智院中学の制服だ。
この辺りではその制服を着て歩くだけで、名門の令嬢だと振り返られる。
その神聖な制服のスカートをたくし上げ、下着すら着けずに尻を晒しているのだ。
なんと背徳的な図だろう。
沙耶香の秘所と、その上に息づく肛門が露わになっている。
大陰唇が少しはみ出ているのが見て取れた。
連日の性交で、もはや処女地ではない事を表すかのようだ。
一方、本来排泄の孔である場所は菊の花さながらに慎ましく窄まっている。
カメラの映し方からして、今日嬲られるのはその後孔なのだろう。
「へへ、可愛いケツしたお嬢様だぜ」
スキンヘッドの男がゴム手袋を嵌め、指先にローションをまぶして沙耶香の肛門に触れる。
「んっ」
沙耶香が反応を示した。
排泄の孔に触れられているのだ、15歳の少女としては当然の反応だ。
男の指はテカリを塗り伸ばしながら菊の環をほぐしてゆく。
指先が嵌ると菊の花は大きく開いた。
「どうだ、尻の穴に指を突っ込まれる感触は」
男が孔内で指を曲げると、沙耶香の幼い尻肉が強張りを見せる。
若干15歳ながらに何ともそそる尻だ。
良太は思わず生唾を呑んだ。
男はいったん指を抜き、床から綿棒の入った容器を拾い上げる。
そして一本を取り出してローションを塗した。
「しっかり撮っとけよ」
男はカメラに向かってそう告げ、ローションの滴る綿棒を沙耶香の蕾に近づける。
蕾はぷつっ、と音のしそうな動きで綿棒を飲み込んだ。
少女の慎ましい菊輪から、一本の綿棒が飛び出している。
妙に淫靡な光景だ。
男はさらに綿棒を取り出し、ローションを塗しては肛門に挿し込んでゆく。
「い、痛い……!!」
4本目が入った時点で沙耶香が呻きを上げた。
しかし男はそれを意に介さず、片方の指で肛門を押し広げたまま、綿棒を捻じ込む。
結果、幼い尻穴に10本の綿棒が入り込んだ。
菊輪は皺さえ無くなるほどに拡がっている。明らかに限界と思える拡張だ。
綿棒の末端が蜂の巣のようになって突き出ている。
「ぬ、抜いて……!」
四つん這いの沙耶香が振り向いて請う。
「そう焦るな」
男は沙耶香の言葉に従い、綿棒の塊を摘んで引き出した。
しかし完全に抜き去りはしない。
限界まで開いた菊輪をまくり返しながら、ゆっくりと抜いて、押し込みを繰り返す。
「ひいいぃっ!?」
沙耶香がおぞましさを孕む悲鳴を上げた。
綿棒の塊はローションを纏いながら、にちゃっ、にちゃっと音を立てる。
尻穴は綿棒を押し込まれる時には陥没し、抜かれる時には火山のように盛り上がった。
そしてその奥まりからは余分なローションが溢れ出る。
ローションは綿棒の隙間を縫うように流れ、抜き差しする男の指へ纏いついていた。
ふとその色に気付き、良太は思わず顔を覆う。
「こ、これっ……!?」
黄色い。黄色く濁った色だ。
綿棒に塗されたローションは透明であるため、その色は少女の腸内で付加されたとしか考えられない。
ふん、と男の鼻を鳴らす様が、さらに良太の心を抉った。
「おうおう、尻汁で手がドロドロになっちまったぜ」
節ばった男の指がゆっくりと綿棒を引き抜く。
やめろ、良太がそう思うのも空しく、綿棒は完全に肛門から抜き出された。
残酷な現実。
綿棒の先端に付着しているのは、人間として当然のもの、消化の末に造り出されるべきものだ。
だが清楚な被害者のそんな部分を、良太は目にしたくなどなかった。
「…………っ!!」
綿棒を見せ付けられ、当の沙耶香も絶句する。
そこへ男が言葉を被せた。
「何だ、腹ん中が汚れてるじゃねぇか。こりゃあ、本番の前にキレイにしねぇとなあ?」
穢れを見せながらそう言われては、少女に拒絶など出来るはずもなかった。
※
次の画面は男の手元を映していた。
洗面器に湯気の立たない程度の湯を張り、瓶から透明な薬液を注ぎ入れる。
それを手で混ぜつつ、男はある物を拾い上げた。
ガラス製の浣腸器だ。
嘴管を湯に浸し、数度シリンダーを引いて空気を追い出し、薬液を吸い上げる。
「尻を上げろ」
男が命じると、沙耶香は目を伏せながら言葉に従った。
ガラスの嘴管が美しい窄まりを割り開く。
シリンダーが押し込まれ、薬液が少しずつ少女の腸内に注がれる。
「…………っ!!」
沙耶香が眉を顰めた。
音こそ拾われないが、切ない呻きが見て取れる。
薬液は4回に渡って注ぎこまれた。洗面器のほとんどを注いだ形だ。
注入後、沙耶香は臀部を押さえながらへたり込んだ。
「お、おなか……痛い……!!」
苦しげな表情でそう訴えかけるが、男達が反応を示す様子はない。
当然だ。
彼らの目的は憎き議員の娘を苦しめ、辱める事にあるのだから。
「出したいか?」
男の1人が問うと、沙耶香は頷いた。
恐らく浣腸など受けるのは初めてだろう。その独特の排泄欲は辛抱し難い筈だ。
それを知った上で、男はさらに追い詰める。
「なら、どうすりゃいいのかは解るよな?頭の良い学校通ってんだからよ」
男がチャックを下げて逸物を取り出す。
排泄したくば口で射精まで導け、というのだろう。
「くそ、ふざけるなっ!!」
鑑賞する良太はその卑劣なやり口に憤り、折れそうなほどペンを握りしめた。
しかし、画面に映る少女にそれほどの勇気はない。力もない。
ゆえに彼女は桜色の唇を開き、男の物を咥えるしかなかった。
今にも泣き出しそうな表情で。
男の1人は自らの物を咥えさせ、また1人は沙耶香の制服をたくし上げて乳房を揉みしだいた。
手で掴むのに程よい大きさだ。
白いその乳房が男の手の中で形を変える。
何分ほどそうしていただろうか。
沙耶香は何度も身を捩り苦しみながら、やがて逸物を吐き出して叫んだ。
「ぷぁっ!……も、もう限界!トイレに、お願いトイレに行かせて!」
額には脂汗が浮き、確かに限界を迎えていると解る。
その腹部からは断続的に雷鳴のような轟きが漏れていた。
「ちっ、イカせる事もできねぇのか。これだから甘やかされて育ったガキはよ」
男は射精寸前の逸物を扱いて精液を沙耶香に浴びせかける。
少女の柳眉と鼻頭が白濁に塗れた。
「しゃあねぇ、んじゃあ出せよ」
男の1人が床に透明なボウルを置いて告げる。料理に使う大きめの物だ。
少女は首を傾げた。
「あの、トイレに……?」
「だから、ここに出せってんだよ。漏れる前に早くしろ」
男の言葉に、沙耶香は表情を強張らせた。
「!?……い、イヤよ!!トイレでさせて!!」
喚くように言うが、男達は聞き入れない。1人がトイレのドアを塞ぐように立っている。
沙耶香は困惑しながら周囲を見回した。
すでに足が震えるほどに我慢の限界が来ている。選択の余地などなかった。
「く……!!」
沙耶香は顔を顰め、透明なボウルの上に腰を下ろした。
そしてかなりの躊躇をもってスカートをたくし上げ、下半身を露わにする。
男達が下卑た笑いを交わした。
その渦中で、とうとう少女の排泄が始まる。
カメラはボウルの手前、屈みこんだ沙耶香を下から撮る形で固定された。
スカートが作る暗がりの中、薄っすらと少女の繁みが見える。
少女の括約筋は屈みこんだと同時に限界を迎えた。
ぶりっ、ぶりりっという耳を覆いたくなる音と共に、ボウルへ汚液が勢いよく打ち付けられる。
透明な淵に茶黄色の波が跡を残す。
明らかに固形物と思われる黒いものも見えた。
ボウルが透明であるため、それら全てが余すところなく映される。
沙耶香はたくし上げたスカートで顔を隠すように俯いていた。
その愛らしい蕾が盛り上がり、なお穢れを吐き出してゆく。
「うっ!!」
映像を追いながら、良太は思わず口を押さえた。
年頃の少女を辱めるのにこれ以上の事はない、そう思った。
この映像が当時ネットに公開されたのか。それは新任の良太が知る由もない。
だが、1人の少女がこのように恥辱を受けた、その事実は間違いなく存在するのだ。
良太はおぞましさとはまた別の吐き気を覚えた。
恥辱の排泄の後、映像が一旦途切れて次の場面に移る。
まずは沙耶香が床に座っている所が映された。
大きく股座を開いているので恥じらいの場所が丸見えだ。
スカートは脱がされ、下半身には膝下のハイソックスしか履いていない。
その沙耶香の前に男が屈みこんだ。
手には再びローションの瓶が握られているが、ゴム手袋はつけていない。
「さて。綺麗になったところで開発といくか」
男はそういい、2本指にローションを塗して沙耶香の蕾に触れた。
浣腸で緩んだのだろうか。1度目よりはかなりスムーズに指が飲み込まれる。
「あ!」
挿入の瞬間、沙耶香は小さく声を上げた。
「いい締まりだ、膣よりずっといいな。立派な性器を隠してたもんだ」
男が可笑しそうに告げる。
そこからは、少女は延々と尻穴を男の指でほじくられ続けた。
男の節ばった2本指が小さな蕾を押し拡げ、中で蠢く。
それをカメラが接写で捉えた。
修正なしの生映像だ。尻穴への指の抜き差しもありありと映されている。
沙耶香は大股を開いて肛辱を受けた。
すらりと細長く伸びた脚は、紺のハイソックスと相まって何とも未成熟な印象を与える。
それが妙に背徳的だ。
尻にしても肉付きが甘く、骨盤の形がそのまま浮き出るようだった。
その中心に位置する穴へ指が潜り込む、これもまた犯罪的だ。
良太は、カメラが映すままにその映像を眺めた。
男達を許しがたい感情が胸を満たしている。
しかし同時に、心のどこかが興奮してもいた。未成熟な美しい少女の尻穴を、男の指が嬲る。
その映像に、良太の雄の心がくすぐられたのだろうか。
「ばかやろう……」
良太は自らの頭を小突き、事務的に報告書を記し続ける。
その心を大きく揺らがしながら。
尻穴への指入れは驚くほど丹念に続けられた。
男は何度も指にローションを塗しなおし、沙耶香の尻穴へ捻じ込み続ける。
少女の後孔からはとうとう排泄の残滓が掻き出され始めていた。
排泄で出きらないほど奥に残っていた汚液だ。
それは少女の下に敷かれたタオルを薄黄色に染めた。
カメラは当然その掻き出された液を容赦なく撮影し、沙耶香の顔を歪ませる。
「あ、あああ……」
沙耶香は尻穴弄りに小さく声を上げながら、ある一点を凝視していた。
眼前の男の股座だ。
そこにはズボンを押し上げるほどの、固く大きな隆起があった。
尻穴を弄繰り回す男は次第に鼻息が荒くなってきている。
少女の幼い尻穴を弄くって興奮しているのは疑いようもない。
そして、彼はやがて我慢の限界を迎えた。
「これだけほぐせば大丈夫だ」
尻穴から粘液まみれの指を抜き、男は言った。
そして素早くズボンを脱ぎ、逞しい下半身を露出させる。
沙耶香が恐ろしげに肩を竦めた。
男の一物が斜め上にそそり立ち、脈打つほどであったからだ。
「さ、さぁ、いくぜ?」
男は勃起しきった逸物を少女の尻穴に宛がう。
沙耶香の表情が引き攣った。
「い、いやっ!!そこは、そこは違うぅっ!!!」
喚きながら暴れる少女を、男たちの腕が押さえつける。
両手を万歳の形に、両足首を天へ向け掲げさせて抵抗を封じた後、
ついに男は尻穴への挿入を開始する。
「いやあああっ!!!あああああああ!!!!!」
沙耶香はそれまでとは音程の異なる叫びを上げた。
しかしその抵抗も空しく、男の怒張は少しずつ少女の腸の中へ入り込んでゆく。
一見すると処女を奪った時と同じように見えるが、若干開いた秘唇が空いているため、
確かに尻穴へ入っていると見て取れる。
「う、うぐぐ……!!」
沙耶香は挿入が深まるほどに歯を食いしばるようになった。
眉間に皺を寄せ、鼻の穴もやや開き、あまり綺麗な表情とは言い難い。
しかし尻穴への挿入という異常事態の渦中にいる事を鑑みれば、それも無理からぬ事だ。
むしろその苦悶の表情こそが、何よりもその肛門性交がリアルである事を物語っていた。
「へへ、本当にいい締まりだ。前よか断然いいぜ」
男は少女の腿を押さえながら、ゆっくりと怒張を抜き、挿してゆく。
怒張を引き抜くのに合わせて肛門が盛り上がるのが見えた。
カメラマンもよく解ったもので、その尻穴の様子やすらりとした少女の脚、苦悶する顔を
順番に映してゆく。
それは見る者の狩人の心をいやが上にも満たす効果を持っていた。
正義の心に満ちた若き警官とて、それは例外ではない。
「う、嘘だろ……!?」
良太は自らの逸物が硬化している事に気付き、唖然とする。
誓って彼に少女趣味はない。ましてや強姦などこの世で最も憎む犯罪だ。
しかしながら、彼の男が反応してしまっている。
「いや、疲れでおかしくなってるんだ。さっき飲んだドリンクの効果かもしれないし」
良太はそう自分に言い聞かせる。
しかし映像に目を戻した瞬間の動悸は、とても誤魔化しきれるものではなかった。
※
以降のビデオは、沙耶香の尻穴を開発する方向へ傾倒していた。
排泄の孔を嬲るのが最も辱めに良いと考えたのだろう。
ある時は、沙耶香はうつ伏せの格好で手足を縛られていた。
そして驚く事に、その高く突き出した尻穴は6つのフックで限界まで拡げられている。
その状態の腸内をカメラが映すのだ。
「やだあああっ!!う、映さないで、おねがいっ!!!」
沙耶香は余りの羞恥に狂乱気味に泣き叫んでいた。
それはそうだ。少女の晒された腸の奥、溜まった汚物が丸見えになったのだから。
それだけで気が触れそうなほどの衝撃映像だが、男達はさらに少女の尊厳を貶めにかかる。
耳かきのような形をしたガラスの採便棒を用い、少女の糞便をかき出しはじめたのだ。
くっぱりと開いた腸の奥へ採便棒を押し込み、汚物を掬って傍らの新聞紙へ乗せる。
少しずつ、少しずつ、少女の汚物が山となってゆく。
それが淡々と映像に収められるのだ。
「うっ、ううっ……!!」
縛られた沙耶香には逃げる術もなく、ただ嗚咽を続けていた。
15の少女としては死にたいほどの屈辱だろう。
便を粗方掻きだした後には、若干の湯を注いだ後に吸引し、中を清める。
そして驚くほど長さのあるバイブレーターが持ち出された。
「今日は腸奥を開発してやる。こいつはお前の直腸より一つ奥、S字結腸まで届く長さだ。
そこをコイツでたっぷりと仕込んでやる」
男達は下卑た笑いを交わしながら告げた。
恐ろしげに振り仰ぐ沙耶香の前で、長い責め具が拡がった尻穴へ捻じ込まれる。
責め具の直径はちょうどフックで広がった孔と同程度だ。
「あ、うああっ!!?」
七分ほどが入った時点で、少女が悲鳴を上げた。
バイブの先が直腸奥よりさらに一段入り込んだのだろう。
「はは、凄いだろう。お前の腸に合わせて選んだんだ。高価かったんだぞ、存分に味わえよ」
男達はさらに深くバイブレーターを埋め込んでゆく。
強烈な反発でバイブレーターが押し戻されると、その末端を掌で押さえつけながらスイッチを入れた。
「くあ゛っ!?うあ、あああああ!!!!」
責め具が重い羽音を発しはじめ、少女の腰が跳ね上がる。
「さぁ、吉崎の嬢ちゃん。楽しい地獄の始まりだ」
男の手が振動するバイブレーターを強く押し込み、沙耶香に悲鳴を上げさせた。
押し込んで、飛び出し、押し込んで、飛び出し。
沙耶香の腸奥でその強烈な力のせめぎ合いが何度も起こり、少女は何度も腰を跳ね上げた。
立つ音はとても表現しきれない。
排便、放屁、潤滑、それらを想起させる音が無数に混じりあい、少女の細い腹から漏れる。
良太はその様を淡々と報告書に書き起こす。
もはや無心になる他なかった。一々物を考えていては、頭がおかしくなりそうだった。
映像に映る少女も似たような心境だったのだろうか。
彼女はいつしか、尻穴の抜き差しに合わせてああっ、ああっと声を漏れさせるままにしていた。
異常なほどに愛らしく、また性的な声でだ。
幼い瞳は泣いたように潤み、開いた口からは涎が垂れていた。
腰を跳ね上げる動作も、はじめは苦しさからであったらしいものが、
膝頭をすり合わせるような淫靡な動きを伴うようになっている。
感じているのだ。
それが証明されたのは、全てが終わって尻穴のフックが外された時だ。
秘唇へ食い込むように掛けられたフックには、ねっとりとした性器からの粘糸が絡み付いていた。
男の1人が少女の中へ指を入れると、何とも潤みきった音が立つ。
それを聞いた瞬間、良太は何もかもが解らなくなってしまう。
少女は気持ちが良かったのか?あれほどの恥辱を味わい、尻穴を奥まで抉られて。
なぜそれで濡れてしまうのだ。清純な少女ではなかったのか。
そして、いま自分は何故、逸物を握りしめて扱き始めているのだろう……?
※
それから間もなく、1人の若き警察官がその職を辞した。
『まっとうな人間でありたい』
それが退職の理由であったという。
署の先輩であった刑事は、彼の辞職を耳にした時、済まなそうな目をした。
「どこまでも真っ当なヤツだったんだな、あいつは。
これから先、ああいったビデオを目にする機会はゴマンとある。
むしろ、あんなもんは俺達にとっちゃ常軌の範疇さ。
それに毒される類の性分なら、早いうちに退くのが英断だ。
ああいうビデオを見続けるうち、いつの間にか出会った女に同じ事をやらかしてた。
そんな腐りきった警官が、どれだけいる事かよ」
彼はつまらなそうにそう語り、咥えていた煙草をもみ消した。
そして若者の残したビデオの続きを見始める。
くく、と時おり低い声で笑い、病的なほど映像に眺め入って……。
終わり