堕天の学舎 2013年4月26日 オリジナル 二年二組の教室は今日も喧騒に包まれている。 授業が始まる前のひととき、朝野真里(あさの・まり)はお気に入りの文庫本を読んでいた。 真里は、白天(はくてん)女学院でもトップクラスの成績を誇る優等生だ。 お下げ髪におとなしげな容貌、野暮ったい黒縁眼鏡という取り合わせは、いかにも優等生然とし たルックスだった。ほっそりとした色白の肢体は、運動にまるで縁がなさそうな印象を与える。 真里は、ふう、と小さくた […] 続きを読む
私でない私 2013年4月2日 オリジナル 『そんなに優等生じゃないよ。』 それが私の口癖だった。小学生の頃から、ずっと。 確かに成績は常に上位で、部活にも熱心に取り組んできた。素行も悪くはない。 ただ、優等生と思われやすい本当の理由は、私の“いかにも”な見た目だろう。 髪は常に黒のロングストレートだ。 幼い頃は母の言いつけでそうしており、やがて級友に持て囃されるようになると、私自身が進んでそうするようになっていた。 艶のある […] 続きを読む